The past kept secret~解き放たれる現実~
 「よし、任務完了」
 ミネルは鎌の刃を、友里香の身体から抜いた。
 「これでいいんだよね。あの人はそう言っていたから」
 背中が血で満たされている友里香を見つめ、ミネルは言った。
 「……ボクはキミのこと、意外と好きだったよ。久しぶりに成長したキミを見れて……嬉しかったから」
 ミネルは、倒れている友里香付近で、腰をおろした。
 「なんで消えることになったんだろうね。可哀想に。でもね、ボクもあの人の考えていること、わかる気がする。そのためには、キミも必要なんだよ」
 「…………」
 「きっと、あの人は過去に記憶を消してしまったことを、後悔していると思うよ。だから、尚更だよ」
 「…………」
 「戻ってくればいいのに。そして、一緒に戦えばいいのに」
 「…………」
 「でも、また会うときは敵同士になっているのかもね」
 ミネルは立ち、最後に友里香に囁くように呟いた。
 「じゃあね。愛しき人……」
 そしてミネルはすがたを消した。
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