The past kept secret～解き放たれる現実～

　「…………ん」
　友里香は目を覚ました。
　友里香の視界に映ったのは、青い天井。背中には柔らかい、羽のような感触。友里香はベッドで寝ているようだ。身体の上には毛布が被せられているみたいだし、その可能性が高い。
　「……なんで、ベッド……？」
　先程までの状況を整理し始める。
　友里香は佑介と共に空賊のアジトのテロ爆破ミッションを実行させ、見事にクリアさせた。そしてレシノア村に戻ろうとしたところを佑介（誰かに操作されている状態）と戦闘することになり、佑介を気絶させた。しかし、そのあとで急激な眠気に襲われ、眠った。そして何故か見覚えのない屋敷に友里香はいて、≪狂わす鎌≫ミネルと再会（ということになるらしい）する。色々な真実が明かされ、友里香はミネルの攻撃を受けて――――。
　友里香はここまでしか、記憶にはなかった。
　「……目を覚ましたか」
　「！？」
　誰かの声が聞こえ、友里香は身体を起こした。友里香の着ている服がいつもの戦闘服ではなく、見覚えのないパジャマに着替えられていたことに、驚愕した。
　「安心しろ。メイドに着替えさせたから」
　友里香は声の主を確認する。友里香から見て右斜め４５度くらい、という中途半端な角度に人がいる。背後から見たらどうやら男みたいだ。男の眼前にはポッドがあって、トレーの上には何か飲み物が入ったコップが２つあった。
　「……あなた、誰ですか？」
　とりあえず、男の正体を確認する。
　「……やっぱり覚えてないか。さっきまで夢を見ていただろう？」
　何故か再び疑問形で返された。
　「どうして夢を見ていたことが、分かるんですか？」
　「おれがそういう風にしたから」
　「……はい？」
　「冗談。さっき見た夢の中におれは出てこなかったか？」
　「…………え？」
　先程まで見ていた夢。出てきた人物はドレスを着用していた幼い少女。隣に貴族風の女性、同じく貴族風の男性。それだけだ。
　「出てきていませんけど」
　「そうか。別に構わないけど」
　「……？」
　そこにいた男性――白いロングコートに身を包む――は、トレーを持って友里香のもとへやってきた。