The past kept secret~解き放たれる現実~
 「あれ?よく見たらさ、『実行者』のところにわたしたちの名前が記されてあるじゃん」
 「それ……ミッション開始する前に言うことか?」
 友里香と佑介は、とりあえずレポート通りに、指定された場所・時刻にやってきた。
 場所はミスト街道西端に隠れていた地下に通じる階段前。時刻は11時9分。ミッション開始時刻は迫っていた。
 友里香は左腕に巻いてある腕時計で、予定時刻になるのを待っていた。
 そして、時計の針が予定時刻を知らせたとき―――。
 2人はミッションを開始した。

****** ******

 友里香と佑介は、アジトに通じる階段を降りていく。階段を降り切ったら、レポートに記されてある地図通りに進んでいく。
 アジトの中は薄暗かった。しかし、所々に壁に掛かっている電導力<イラストニーツ>で起動しているらしい明かりが灯されているランプがあるおかげで、完全に視界は暗くはなかった。もし、<イラストニーツ>が起動されていなかったら、アジトは完全に真っ暗で、友里香たちの視界は完全に潰されていただろう。
 そんなことを考えつつ、友里香は足を止めた。
 「ここでしょう?場所は」
 「そうみたいだな。地図に記されている場所もここで合っているみたいだし、空賊たちが来ないうちにさっさとセットしてくれ」
 「了解」
 そう言うと、友里香は佑介からダイナマイトが束になっている爆弾装置をもらった。この爆弾装置に着火するとカウントダウンが始まる。制限時間は2分。当然、2分を経過すれば爆発する。アジトは爆発するだろう。しかし、アジトは地下なので、あまり騒動にならなくて済むに違いない。……揺れは来るかもしれないが。
 つまり、この爆弾装置は「NO ROPE」が作った時限式爆弾なのだ。
 友里香は爆弾装置を指定された場所にセットし、着火する。
 「佑介。着火したわよ。あとは2分以内に脱出するだけよ」
 「ああ。早く逃げるぞ」
 着火したことを確認した友里香は佑介と共に、辿ってきた道を戻っていく。
 そして予定時刻までに脱出できれば、ミッションは成功。レポートにまとめて報告するだけだ。
 そして友里香たちがアジトから脱出して数秒後―――。
 アジトの出入り口から、大騒音が響いた。
 少佐からの直依頼のテロミッションを、友里香と佑介は成功させた。
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