秘密のイケメンさん
オネエのイケメンボイス
次の日も、私はデザイナー室に呼ばれた。
「あなたに似合う服を作ってあげる」
そう言われ、採寸作業に入った。
肩幅、首の付け根から腰、手首まわり……。
肩から手首の採寸の時、指が少し私の頬に触れた。ぴくっと体が硬くなり、触れたところが熱くなる。
「腕を少し上げてね」
腕をあげると先生は、前から私の背中に手を回し、メジャーを引いた。
私の胸の前に先生の顔がある。ただバストを計っているだけだとわかっていても、ドキドキしてしまう。そんなにそばに寄ったら、先生に心臓の音が聞こえちゃう。
そんな私をからかうように、また耳元に顔を近づけてきた。
「そんなに俺が男に見えるのか?」
私は必死で首をふった。どうしてそんな耳元でイケメンボイス!!
「俺が本当はオネエじゃねえって言ったら、おまえどうする?」
そんなことを言いながら私のウエストサイズを計るために 私の前にしゃがみ、腰に手を回してくる。体が熱くなる。
私は自分が石にでもなったのかと思うくらい固まって動けなかった。
「あんた、本当にかわいいわね」
気が付いたら横で爆笑している先生の姿があった。
この人絶対私で遊んでる!もう絶対騙されない!この人は、オネエ、オネエなんだ!
先生は、1週間姿を見せなかった。私にとってはとても平和な日々だった。
1週間後勢いよく店に入ってきた先生は、まっすぐ私の方に向かってきた。
「できたわよ!いらっしゃい!」
私は腕をつかまれ、またデザイナー室へ連れていかれる。つかまれた腕が脈打ち始める。
この1週間、家にこもって私の服を作っていたらしい。普通ならパタンナーの伊藤さんに任せるところなのに、今回は先生が一人で作ったのだと自慢げに言う。
それでも大好きなデザイナーが作った、私のための服。
この世にたった一枚の私の服。
「見せて欲しい?」
「早く見たいです!」
「じゃあ、目をつぶって」
「はい!」
ぎゅっと目をつぶると、頬に柔らかいものがぶつかった。
パッと目を開けると、先生の顔がすぐ目の前にあった。
……キス……された?私?オ、オネエに??ま、まあ頬だけど……。
「俺、おまえのために頑張ったんだから、これくらいご褒美くれたっていいだろ?」
まって、この人本当にオネエなの?本当は違うの?2重人格なの??
頭の中がぐちゃぐちゃになった。目が回りそうになっていると、先生の大きな掌が、私の頬を触った。顔がカッと熱くなる。胸がぎゅーっと苦しくなる。
先生の瞳が、私をじっと見つめる。
「お前かわいいな」
キ、キスされるのかと誤解しちゃうほど顔が近い。
こんな近くでそのイケメンボイスは反則だってば。
心臓がぎゅーっとつかまれたような感じがして息ができない。
先生は私からパッと離れると、服の入った包みを渡した。
「そっちの部屋で着替えてきなさい」
にっこりと笑うその顔は、いつものオネエの顔だった。
なんなの……。
それから、2か月の間に3,4枚私の服を作ってくれた。
どれもこれもステキな服で、有頂天だった。そしてそのデザインが大量生産され、店に並んだ。
そうか、私だけの服じゃなく、こうやってこの店の服ができているのかと納得した。
そして、それからの先生は、ずっとオネエのままだった。
あの幻のイケメンさんは何だったんだろう。デザイナー室に呼ばれるたびに少し期待する自分が恥ずかしかった。
「あなたに似合う服を作ってあげる」
そう言われ、採寸作業に入った。
肩幅、首の付け根から腰、手首まわり……。
肩から手首の採寸の時、指が少し私の頬に触れた。ぴくっと体が硬くなり、触れたところが熱くなる。
「腕を少し上げてね」
腕をあげると先生は、前から私の背中に手を回し、メジャーを引いた。
私の胸の前に先生の顔がある。ただバストを計っているだけだとわかっていても、ドキドキしてしまう。そんなにそばに寄ったら、先生に心臓の音が聞こえちゃう。
そんな私をからかうように、また耳元に顔を近づけてきた。
「そんなに俺が男に見えるのか?」
私は必死で首をふった。どうしてそんな耳元でイケメンボイス!!
「俺が本当はオネエじゃねえって言ったら、おまえどうする?」
そんなことを言いながら私のウエストサイズを計るために 私の前にしゃがみ、腰に手を回してくる。体が熱くなる。
私は自分が石にでもなったのかと思うくらい固まって動けなかった。
「あんた、本当にかわいいわね」
気が付いたら横で爆笑している先生の姿があった。
この人絶対私で遊んでる!もう絶対騙されない!この人は、オネエ、オネエなんだ!
先生は、1週間姿を見せなかった。私にとってはとても平和な日々だった。
1週間後勢いよく店に入ってきた先生は、まっすぐ私の方に向かってきた。
「できたわよ!いらっしゃい!」
私は腕をつかまれ、またデザイナー室へ連れていかれる。つかまれた腕が脈打ち始める。
この1週間、家にこもって私の服を作っていたらしい。普通ならパタンナーの伊藤さんに任せるところなのに、今回は先生が一人で作ったのだと自慢げに言う。
それでも大好きなデザイナーが作った、私のための服。
この世にたった一枚の私の服。
「見せて欲しい?」
「早く見たいです!」
「じゃあ、目をつぶって」
「はい!」
ぎゅっと目をつぶると、頬に柔らかいものがぶつかった。
パッと目を開けると、先生の顔がすぐ目の前にあった。
……キス……された?私?オ、オネエに??ま、まあ頬だけど……。
「俺、おまえのために頑張ったんだから、これくらいご褒美くれたっていいだろ?」
まって、この人本当にオネエなの?本当は違うの?2重人格なの??
頭の中がぐちゃぐちゃになった。目が回りそうになっていると、先生の大きな掌が、私の頬を触った。顔がカッと熱くなる。胸がぎゅーっと苦しくなる。
先生の瞳が、私をじっと見つめる。
「お前かわいいな」
キ、キスされるのかと誤解しちゃうほど顔が近い。
こんな近くでそのイケメンボイスは反則だってば。
心臓がぎゅーっとつかまれたような感じがして息ができない。
先生は私からパッと離れると、服の入った包みを渡した。
「そっちの部屋で着替えてきなさい」
にっこりと笑うその顔は、いつものオネエの顔だった。
なんなの……。
それから、2か月の間に3,4枚私の服を作ってくれた。
どれもこれもステキな服で、有頂天だった。そしてそのデザインが大量生産され、店に並んだ。
そうか、私だけの服じゃなく、こうやってこの店の服ができているのかと納得した。
そして、それからの先生は、ずっとオネエのままだった。
あの幻のイケメンさんは何だったんだろう。デザイナー室に呼ばれるたびに少し期待する自分が恥ずかしかった。