【完】あんな美容師に騙されない!
「……まっちゃん?」
私は思い出すかのように松岡良平という男に聞いた。
「……やっと、思い出したー。そう、俺だよ。まっちゃんだよ。波、気づくの遅い」
だって、高校の時と外見も性格も違くなっていたから、気づかないよ。
まっちゃんと話をしていると、校長が松岡さんーと呼んでいた。
「まっちゃん、校長呼んでるよ」
まっちゃんは一瞬校長を振り向いたが、聞こえていないかもしれないと思って私は言った。
すると、彼は手に持っていた羽のネックレスをカバンに閉まってから、私の耳元に近づいてきた。
「波。近くで食事しよう。あのLOっていうレストランで待ってる、じゃあ」
まっちゃんは私にそう言ってから、校長、お待たせしました。行きましょうと去っていた。
私は、両手を顔に当てると赤くなっていた。
……ずるいよ、まっちゃん。
まさか、仕事場で元カレに会うとは思わなかった。