【完】あんな美容師に騙されない!
私は彼に会って余韻に浸っていたら
女性問わず全職員がドッと一斉に私に質問を投げかけてきた。
「池脇先生、今の元カレですよね?」
「あんなかっここいイケメン元カレなんて羨ましいです」
「……池脇先生、顔で選びました?」
など、次から次へとまっちゃんと私のことを聞こうと会話し始める。
「……すいません」
私はそれだけ言って、トイレに行くふりをして外に出た。
望も、外に出てきて
「……波。私、初耳なんだけど元カレがいたこと」
望は、両手に腕を組んで睨みつけるかのように私を見ていた。
だが私が隠し事をして怒っているのではない。
ただ同期だからこそ知っておきたかったのだ。
「ゴメン。言うタイミングなかったからさ。そこまで言うことじゃないかなって」
私はそう言うと、望はため息をついていた。
「…まあ、私はあの人は恋愛対象ではなかったからいいけど。全く。これだから……」