【完】あんな美容師に騙されない!

私は彼に会って余韻に浸っていたら
女性問わず全職員がドッと一斉に私に質問を投げかけてきた。

「池脇先生、今の元カレですよね?」


「あんなかっここいイケメン元カレなんて羨ましいです」


「……池脇先生、顔で選びました?」


など、次から次へとまっちゃんと私のことを聞こうと会話し始める。


「……すいません」

私はそれだけ言って、トイレに行くふりをして外に出た。

望も、外に出てきて

「……波。私、初耳なんだけど元カレがいたこと」

望は、両手に腕を組んで睨みつけるかのように私を見ていた。

だが私が隠し事をして怒っているのではない。


ただ同期だからこそ知っておきたかったのだ。


「ゴメン。言うタイミングなかったからさ。そこまで言うことじゃないかなって」

私はそう言うと、望はため息をついていた。


「…まあ、私はあの人は恋愛対象ではなかったからいいけど。全く。これだから……」

< 120 / 231 >

この作品をシェア

pagetop