【完】あんな美容師に騙されない!
「ぷぅ、ベニ。それって、旭にいつまでも好きでいて下さいってこと?」
旭は黙っていた。
俺はベニに笑いながらも、ベニをなんで美容院の名前にするのかがわからなかった。
「違います! 今、言ったでしょ。お客様のことを一人ひとり誠心誠意を持って尽して、あなたの髪を大事にカットしてあげますってことだよ」
俺は、なんとなく理解できた。
ベニにしたのは、ベニ自身を忘れないで女性にも紳士に対応して接していってね
という旭に対する配慮なのだ。
女性だけには、ベニだけしか話さない傾向があったため。
それを気にして、美容院の名前をベニにしたのだ。
「……うん、それなら分かるけど。さっきはちょっと分かりづらかったよ。な、旭」
旭は、うーんと頬杖をついて何か考えていた。
「……そうだな。うん、ベニ、言いたいこと分かった。よし、ベニの提案に賛成する」
旭は、以外にもあっさり受け入れた。
「え? いいの、旭。ベニの名前だよ」