【完】あんな美容師に騙されない!
悲しみと喜び
はあ、あの話を聞いて以来、一分ごとにため息が漏れる。
「はあ」
午前の授業が終わり、私はデスクで顔を両手で押さえ付けてため息をついていた。
「波。もうお昼だよ。どうしたの」
望はもうどうしたのと言って、腕を組んで私を見下ろしていた。
「なんでもない。うん、後から行く」
私は給食で出るご飯を教室で盛り、保健室へ向かった。
教室では、築地先生が子供たちを見てくれるので副担任はどこで食べてもよくなっている。
築地先生に最初は申し訳ないと思って、教室で食べていた。
だが、築地先生がお昼は強制的にこの教室で食べなくてもいいのよと言ってくれたおかげで私は仕事でのストレスがなくなった。
あの教室にずっと仕事モードでいると、
ストレスがたまる。
幼い頃は感じなかったが、子供たちも
同じ教室、同じ友人でいる空気は
見えない何かを背負っている感じがする。
「お待たせ。望」
私は左手で給食を手にして保健室を開けた。
望は、笑っていた。
「待ってたよ。波」