【完】あんな美容師に騙されない!

朝比奈は変人美容師と談笑していた。

「なっ……なんで」

朝比奈は敵意を向けるかのように両目をギラギラと輝かせながら変人美容師の目を睨みつけていた。

「いや、帰ろうとしたら。この人がいたので話してたんです。ねぇ?」

変人美容師は朝比奈に同意を求める。
朝比奈は変人美容師を睨みつけながら、ああと答えた。

「…あ、あの.…」

私は右手に胸を押さえて、下にある石ころを見つめて彼になんて言えばいいか悩んでいた。

彼と面と向かって話したかった。
ちゃんと意地悪なんか言わないで、素直に。

「では、これで失礼します」

変人美容師は部屋へと戻ってしまう。
私、声出してよ。

すると、私の心の声が聞こえたのか朝比奈が声を発した。

「あのー、失礼ですけど。波のこと好きですよね?」
朝比奈は、まだ変人美容師を見ていた。
でも睨みつけるのではなく、からかうように聞いていた。


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