【完】あんな美容師に騙されない!
「どうしたんだよ、波」
朝比奈は目を丸くして心配している。
心配している朝比奈の顔は、涙目でどんな表情をしているか把握できない。
「ゴメン、朝比奈。私、やっぱり高木さんが好きみたい。この人じゃなきゃダメなの」
私は胸を押さえて、自分の気持ちを確かめた。
自分の胸はドキドキと心拍数が上昇していた。これは目の前にいる高木さんへの気持ちなんだ。
私はもう変人美容師と呼んでなかった。
変人じゃない理由が分かったから。
この人が私を好きっていう確信がやっと掴めて私は安心したかのように呼んだ。
「高木さん。私と付き合って下さい」
私は朝比奈と向き合った後、高木さんの方を向いてドライアイの目を私が限界になるまで開いて高木さんを見て言った。
「…ぷぅ。顔赤い」
「え? 嘘」
私は自分の頬を両手で触った。
風が吹いているというのに、私は体全体が火照っていた。
こんな天気を倒すくらいのエネルギーが体全体に伝わっていた。
それは、高木さんが好きだからこんなになるんだと思う。
「暗いけどわかるよ。大体。好きだよ、波。俺と付き合って」
私が最初言った言葉を再度反復して、甘い蜜を吸うような包み込まれる声で言った。
暗くて、私の目が涙目だし顔がはっきり見えなくても分かる。
この人は、今照れてる。
そして、まっすぐ私を見てこう言っている。
好きだよと。
「はい」