【完】あんな美容師に騙されない!
「え? 波から誘ってくるなんて。どうしたの」
望はそう言って、ニヤニヤしている。
言いたいこと、丸わかりだ。
高木さんと来るんでしょ?と聞いているように思える。
「う、うるさいな。望はその日、空いてる?」
「え? うーん、空いてるけど」
仕事中というのに携帯を弄りながら望は、素っ気ない返事をした。
珍しいな、仕事中には絶対望は携帯を触らないのに今日どうしたんだろうか。
なんか、急ぎの用事があったのかな?
「じゃあ、ベニに10時半ね」
私がそう言うと、望は私とメールを交互に見て答えた。
「…了解」
気のせいだろうか、望から笑顔が消えたように思えたけど。