【完】あんな美容師に騙されない!



「旭は、女性に好意を持ったことなんてなかったんだ。でも、波ちゃんが来て一変したんだ」



倉田さんは口を手で抑えて呟いた。



「どういうことですか?」

倉田さんは、アタシを見て言った。



「 ひとつだけ言えるのは、土曜日の髪の手入れは髪が疲れている人を僕が選んでベニに来てもらっているんだ。


でも、旭は昨日珍しく波ちゃんを指名したんだ。

あいつ明日呼びたいんだ。あいつ俺に変人扱いしやがったんだって言ってきたんだ。

旭はすごいムカついてたけど、僕は何か嬉しかった。


まあ、この土曜日の髪の手入れの本当の趣旨は、旭が女性をきちんと愛せれるようにということなんだ。

僕が旭にさっきの口述で頼んだんだ。旭はあっさりOK。

お金は入ってこないけど、旭にとっては女性の髪、触れるからいいんだろう。

まあ、この土曜日の髪の手入れした人は旭に引いて担当者変える人もいるけどな」

「そういうことだったんですか」



アタシは、倉田さんの高木さんの思いと何故波はここに呼ばれたのかが分かった。




「だから、望ちゃんときちんと話したかったんだ。
旭は、説明しないから。

波ちゃんに言ったとしても旭のこと信用しないと思うから望ちゃんに言った方がいいと思って」



アタシは、倉田さんの言っていることは正しいと思った。



高木さんは、まだよく分からないけど昨日の対応見れば一目で分かる。


絶対、説明するのはめんどくさいと言うだろう。


波は、高木さんのこと大嫌いだから、信用しない。


「そうですね、アタシで良かったんですか?」


倉田さんは、いや、言う相手望ちゃんしかいないからさあと言った。


倉田さんは続けて言った。


「しかも、望ちゃんと僕。友達の恋、応援しているでしょ。情報交換できればいいと思って」


アタシは、倉田さんを見て、ああ何て優しい人なんだと思った。


アタシは今まで会った人も優しかった。



でも、それは外見で判断していただけで本当の優しさが見えなかった。



倉田さんは、明るくて相手を思いやる優しい人だと感じた。

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