獅子王とあやめ姫
店主が靴を選んでいる間に、イーリスはきょろきょろと周りを見回した。
よく磨かれた靴が、ずらりと壁にしつらえられた棚に並んでいる。
花の模様が細かく描かれたもの、銀の縁取りが施されたもの、見たことのない素材で作られたもの…などイーリスが普通に暮らしていたら履けないようなものばかりだ。
店主の態度から察するに、イゼルベラは何度か街にお忍びで足を運んでいるらしい。
「こちらはいかがでしょうか。」
持ってこられたのは繊細に編み上げられた白い薄布が貼り付けてあるもの。
こんなものは履いたことがない。
「可愛い......。」
「そうでしょう。こちらは向こうのクレータ国で流行の仕様でして___。」
その時、店主がつらつらと説明するのを遮って、扉が乱暴に開かれた。
入ってきたのはいかにも物騒な格好をした男4人。
刀を脅すようにして鞘から抜いている。
一気に店内に緊張が走った。
「何、あなた達...!」
恐怖で顔を強ばらせるイゼルベラ。
「お嬢ちゃんには興味はねぇ。おい店主、金出しな。それと値打ちのある商品もだ。」
店主が慌てて奥へ引っ込もうとすると、すかさず1人が襟首を掴んだ。
「おいおい、逃げようって算段は通用しねぇよ。」
刃が光り、血しぶきが飛んだ。
よく磨かれた靴が、ずらりと壁にしつらえられた棚に並んでいる。
花の模様が細かく描かれたもの、銀の縁取りが施されたもの、見たことのない素材で作られたもの…などイーリスが普通に暮らしていたら履けないようなものばかりだ。
店主の態度から察するに、イゼルベラは何度か街にお忍びで足を運んでいるらしい。
「こちらはいかがでしょうか。」
持ってこられたのは繊細に編み上げられた白い薄布が貼り付けてあるもの。
こんなものは履いたことがない。
「可愛い......。」
「そうでしょう。こちらは向こうのクレータ国で流行の仕様でして___。」
その時、店主がつらつらと説明するのを遮って、扉が乱暴に開かれた。
入ってきたのはいかにも物騒な格好をした男4人。
刀を脅すようにして鞘から抜いている。
一気に店内に緊張が走った。
「何、あなた達...!」
恐怖で顔を強ばらせるイゼルベラ。
「お嬢ちゃんには興味はねぇ。おい店主、金出しな。それと値打ちのある商品もだ。」
店主が慌てて奥へ引っ込もうとすると、すかさず1人が襟首を掴んだ。
「おいおい、逃げようって算段は通用しねぇよ。」
刃が光り、血しぶきが飛んだ。