獅子王とあやめ姫
朋友の少女
白い泡を立てて、船は海原をなめらかに滑って行く。
「やはり襲われたか。」
碧い海の上で、フィストスは明るい日差しに似つかわしくない曇った顔で呟いた。
「どうしたフィストス、いつにもまして顔が渋いぞ。」
いつのまにやら船室から甲板に上がってきたティグリス王子が、フィストスの持っている文書を覗き込む。
ふむふむ、と滑るように文書を読んでいく王子。
監視が行き届いておらず、イーリスはこっそりと妹と城を抜け出し、出先で襲われたらしい。
彼女達を襲った数人の男達は全員なかなかの手練で、手加減する余裕もなくロファーロは一人残さず殺してしまったようだ。
「ロファーロはよく働いてくれているようだ。イゼルベラが申し訳ないことをしたみたいだな。」
「兄上様が甘やかすからですよ、きっと。」
「あれはもうどうしようもないからな。」
「しかし、見知らぬ男達4名に襲われたとあります。これはただの強盗でしょうか。誰の差し金でしょうか。」
軽口を叩きあっていた2人だが、不意にフィストスが話題を戻す。
白い帆が風を受け、大きく膨らんだ。
「問い掛けるのか。問答の時間なのか?」
「......。」
無言で肩をすくめたフィストスを見てティグリスはため息を付き、真面目な顔つきになった。
「やはり襲われたか。」
碧い海の上で、フィストスは明るい日差しに似つかわしくない曇った顔で呟いた。
「どうしたフィストス、いつにもまして顔が渋いぞ。」
いつのまにやら船室から甲板に上がってきたティグリス王子が、フィストスの持っている文書を覗き込む。
ふむふむ、と滑るように文書を読んでいく王子。
監視が行き届いておらず、イーリスはこっそりと妹と城を抜け出し、出先で襲われたらしい。
彼女達を襲った数人の男達は全員なかなかの手練で、手加減する余裕もなくロファーロは一人残さず殺してしまったようだ。
「ロファーロはよく働いてくれているようだ。イゼルベラが申し訳ないことをしたみたいだな。」
「兄上様が甘やかすからですよ、きっと。」
「あれはもうどうしようもないからな。」
「しかし、見知らぬ男達4名に襲われたとあります。これはただの強盗でしょうか。誰の差し金でしょうか。」
軽口を叩きあっていた2人だが、不意にフィストスが話題を戻す。
白い帆が風を受け、大きく膨らんだ。
「問い掛けるのか。問答の時間なのか?」
「......。」
無言で肩をすくめたフィストスを見てティグリスはため息を付き、真面目な顔つきになった。