獅子王とあやめ姫
思いがけない言葉にイーリスは弾かれたように顔を上げた。
ふふふ、と橙色の瞳に楽しそうな笑みを浮かべて微笑むイゼルベラ。
「私、いつも周りによそよそしくされてて、寂しい思いをしていたの。なんせ、こんな生まれですからね。腹を割って話せるのはお兄様だけだったわ。」
遠い目をしたイゼルベラは、ふいに柔らかい手でイーリスの手を握り、顔を覗き込む。
「でも、あなたは皆と違う気がするの。イーリス…私と、友達になって。」
「ええ、もちろん…!喜んで。」
「本当に!?嬉しいわ!ありがとう!」
「私もです。」
「こんなこと初めてだから嬉しいわ。ちょっと緊張までしちゃう。あっ、堅苦しい話し方はよしてね。」
笑顔ではしゃぐイゼルベラを見ていると、心の中の何かが溶けていったような気がした。
(この人は…裏切らないよね。)
* * *
無事に長い船旅が終わり、ティグリス達はクレータ国に上陸した。
ふふふ、と橙色の瞳に楽しそうな笑みを浮かべて微笑むイゼルベラ。
「私、いつも周りによそよそしくされてて、寂しい思いをしていたの。なんせ、こんな生まれですからね。腹を割って話せるのはお兄様だけだったわ。」
遠い目をしたイゼルベラは、ふいに柔らかい手でイーリスの手を握り、顔を覗き込む。
「でも、あなたは皆と違う気がするの。イーリス…私と、友達になって。」
「ええ、もちろん…!喜んで。」
「本当に!?嬉しいわ!ありがとう!」
「私もです。」
「こんなこと初めてだから嬉しいわ。ちょっと緊張までしちゃう。あっ、堅苦しい話し方はよしてね。」
笑顔ではしゃぐイゼルベラを見ていると、心の中の何かが溶けていったような気がした。
(この人は…裏切らないよね。)
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無事に長い船旅が終わり、ティグリス達はクレータ国に上陸した。