獅子王とあやめ姫
比較的穏やかなパルテノ国と違って、この国の気候は荒々しい。
空には薄墨を流したような雲が浮かび、強い風が髪を巻き上げていく。
迎えに来た馬車まで、黒く荒々しい彫刻が施されている。
「随分と荒涼とした国だな。」
少し固めの座席に揺られながらティグリスは呟いた。
王宮からの馬車を物珍しげに民衆の蒼い目が覗き込んでくる。
「そうですね。この季節は北から吹いてくる湿った風が山脈に遮られて乾いてしまい、降水量が少ないそうです。ほら、山も乾きの色に染まっています。」
つらつらと語るフィストスに思わず吹き出すティグリス。
「フィストスはまるで生き字引だな。」
しばらくその余韻を楽しむように微笑んでいたティグリスだったが、やがて真剣な顔に戻った。
空には薄墨を流したような雲が浮かび、強い風が髪を巻き上げていく。
迎えに来た馬車まで、黒く荒々しい彫刻が施されている。
「随分と荒涼とした国だな。」
少し固めの座席に揺られながらティグリスは呟いた。
王宮からの馬車を物珍しげに民衆の蒼い目が覗き込んでくる。
「そうですね。この季節は北から吹いてくる湿った風が山脈に遮られて乾いてしまい、降水量が少ないそうです。ほら、山も乾きの色に染まっています。」
つらつらと語るフィストスに思わず吹き出すティグリス。
「フィストスはまるで生き字引だな。」
しばらくその余韻を楽しむように微笑んでいたティグリスだったが、やがて真剣な顔に戻った。