獅子王とあやめ姫
王子の帰還
城での滞在にも慣れてきたある日の夕方。
ついにティグリス王子が帰ってきた。
その時イーリスはイゼルベラから借りた例の植物図鑑を読んでいた。
突然扉がバタンッと開き、イーリスは肩をびくっと震わせた。
「ど、どうしたの?」
イゼルベラはイーリスを見ているが見えていないようで、目が興奮でキラキラと輝いている。
「お兄様よ!お兄様が帰ってきたのよ!」
「えっ、ティグリス様が……ってうわっ!」
有頂天になっているイゼルベラに強引に引っ張られ、イーリスは実に2週間ぶりに部屋の外へ連れ出された。
手をつないで前を走るイゼルベラの、はずむ茶髪まで嬉しそうに見える。
(すっかり舞い上がってるわ。)
本当に仲の良い兄妹なのだろう。
イゼルベラに贈られた高級な靴がくるぶしのところで擦れるのも気にせず走りながら、イーリスはこの兄妹の仲を羨ましく思った。
(ティグリス様…やっと会える…!)
ついにティグリス王子が帰ってきた。
その時イーリスはイゼルベラから借りた例の植物図鑑を読んでいた。
突然扉がバタンッと開き、イーリスは肩をびくっと震わせた。
「ど、どうしたの?」
イゼルベラはイーリスを見ているが見えていないようで、目が興奮でキラキラと輝いている。
「お兄様よ!お兄様が帰ってきたのよ!」
「えっ、ティグリス様が……ってうわっ!」
有頂天になっているイゼルベラに強引に引っ張られ、イーリスは実に2週間ぶりに部屋の外へ連れ出された。
手をつないで前を走るイゼルベラの、はずむ茶髪まで嬉しそうに見える。
(すっかり舞い上がってるわ。)
本当に仲の良い兄妹なのだろう。
イゼルベラに贈られた高級な靴がくるぶしのところで擦れるのも気にせず走りながら、イーリスはこの兄妹の仲を羨ましく思った。
(ティグリス様…やっと会える…!)