獅子王とあやめ姫
 だめ!と自分でも驚くほど大きな声が出る。
 
 驚くを通り越して戸惑う三人に、慌ててフレジアは取り繕った。 

 「い、いいのよ、まだ予備があるから。イーリスは一人で外に出ちゃダメ。ちゃんと言う事聞いてね、私は言われた通り休むから、ね。」

 フレジアの顔に何か必死なものを感じたのか、戸惑いの色を残したまま三人はこくこくと頷いた。

 この時イーリスは、母の慌てぶりに対して大げさだなあと少しだけ不思議に思うくらいだった。

 ……だがしかし、事の重大さはイーリスの想像をはるかに超えていたのである。
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