獅子王とあやめ姫
 「父さん、そろそろお開きにしないか。シノモシア殿が部屋にくるんじゃないか?イーリスも明日も早いんだろ?」
 「うん。」

 おっ、そうだなと大人二人も腰をあげる。

 「イーリス、悪いが後でこれと同じものを2人前部屋に持ってきてくれないか。」

 食器を下げようとすると、プロドシアが汁物を示しながら言った。

 「はい!承知しました。」

 「イーリス…。」

 「なあに?」

 プロドシアを始めとする大人達の配慮のおかげでプローティスとは砕けた口調で会話出来る仲になっていた。

 「いや、やっぱり何でもない。今日はほんとに楽しかった。これ、すごい美味かった。」
 「本当?良かった。」
 「また作ってくれよな…じゃあ、お休み。」
 「ありがとう。おやすみ。」

 プローティスの背中を見送りながらため息をつく。

 (だめだめ、幸せボケしちゃ!)

 頬をぺちぺちと叩き、浮き足立った気持ちを押さえつけるように片付けに取り掛かった。



 後から追い付いて来た息子の背中を、プロドシアはぽんぽんと叩いた。
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