獅子王とあやめ姫
イーリスは母親と顔を見合わせた。
「嘘でしょう?誰がそんな目に…。ほらイーリス。奥の机、お客さんの皿が残ってるよ!早く片付けてちょうだい。」
「えー!気になって仕方ないんだけど…」
「俺は旅商人だからな、名前は知らんがいっつも盗みを働いてやがる乞食だそうだ。ソミ(パンのこと)をかっぱらって裏路地に逃げ込んだところを治安維持兵でもねえ見知らぬ奴に手首をバッサリだとさ。」
「アイアスに会ったら伝えておいてくれねえか?もうあんなことはやるなってさぁ。おかみさんが雇ってくれて足は洗ったみてーだがよ、心配でな。」
「じゃあ、俺は仕度しにいくわ。夕方には戻るから、部屋の掃除はそれまでに頼む。いつも昼前には済ましてくれてるが、まあ一応な。」
イーリスは母親とおじさんの後ろ姿を見送った。
アイアスはこの宿屋で雑用係として雇われている7才の少年で、イーリスと同じく母親と二人暮らし。
父親を病で亡くしたのも同じだったが元気だけが取り柄のイーリスの母と違い、アイアスの母親は体が弱く寝たきりである。
それもかなり厄介な病にかかっているらしい。
そんな過酷な状況下で盗みをはたらき、日々の生活の糧を賄っていた彼を見かねて救いの手を差し伸べたのはイーリスの母だった。
「嘘でしょう?誰がそんな目に…。ほらイーリス。奥の机、お客さんの皿が残ってるよ!早く片付けてちょうだい。」
「えー!気になって仕方ないんだけど…」
「俺は旅商人だからな、名前は知らんがいっつも盗みを働いてやがる乞食だそうだ。ソミ(パンのこと)をかっぱらって裏路地に逃げ込んだところを治安維持兵でもねえ見知らぬ奴に手首をバッサリだとさ。」
「アイアスに会ったら伝えておいてくれねえか?もうあんなことはやるなってさぁ。おかみさんが雇ってくれて足は洗ったみてーだがよ、心配でな。」
「じゃあ、俺は仕度しにいくわ。夕方には戻るから、部屋の掃除はそれまでに頼む。いつも昼前には済ましてくれてるが、まあ一応な。」
イーリスは母親とおじさんの後ろ姿を見送った。
アイアスはこの宿屋で雑用係として雇われている7才の少年で、イーリスと同じく母親と二人暮らし。
父親を病で亡くしたのも同じだったが元気だけが取り柄のイーリスの母と違い、アイアスの母親は体が弱く寝たきりである。
それもかなり厄介な病にかかっているらしい。
そんな過酷な状況下で盗みをはたらき、日々の生活の糧を賄っていた彼を見かねて救いの手を差し伸べたのはイーリスの母だった。