獅子王とあやめ姫
~2:城の中で~
パルテノ国の王都バシラス。
白い家々が、三方を山に囲まれた南の王城に続くように、上から見ると二枚貝の貝殻のような形を作って広がっている。
高い塀に囲まれた王城は青い空に真っ白の塔を伸ばし、今は夕陽の光に密色に輝いていた。
その塔の影と塀の間にひっそり隠れるように、黒い石をみっちりと積み上げて出来た立方体の平屋が建っていた。
窓ひとつない馬車がそこで止まり、中から貧しいみなりの少女が兵士に連れられ出てくる。
何か兵士に訴えかけても歯牙にもかけられず、とぼとぼとその漆黒の建物に連行されていく少女。
その遥か上までそびえる白い塔では、一人の少年が書物の頁をめくりながら、その少女を見るともなしに眺めていた。
白い家々が、三方を山に囲まれた南の王城に続くように、上から見ると二枚貝の貝殻のような形を作って広がっている。
高い塀に囲まれた王城は青い空に真っ白の塔を伸ばし、今は夕陽の光に密色に輝いていた。
その塔の影と塀の間にひっそり隠れるように、黒い石をみっちりと積み上げて出来た立方体の平屋が建っていた。
窓ひとつない馬車がそこで止まり、中から貧しいみなりの少女が兵士に連れられ出てくる。
何か兵士に訴えかけても歯牙にもかけられず、とぼとぼとその漆黒の建物に連行されていく少女。
その遥か上までそびえる白い塔では、一人の少年が書物の頁をめくりながら、その少女を見るともなしに眺めていた。