獅子王とあやめ姫
「第一王子殿下の御前でそんな汚ならしい話はするな。…すぐ向かう。お前は下がって良い。」
謝罪させる隙も作らずフィストスは立ち上がり、ティグリスに頭を下げ退出した。
小姓の前をまるで彼が見えていないかのように大股で通りすぎていく教育係を、呆れた目で追う第一王子。
「すまないな、フィストスはいつも誰に対してもああなんだ。下からここまで走ってきてくれたのだろう、ご苦労だった。」
第一王子からの思いがけないねぎらいに慌てて頭を下げる小姓。
窓の外へ目をやったティグリスは、おずおずと退出しかけていた小姓を呼び止め、思い出したように言った。
「…その罪人は、どのような罪状なのだ?」
「はっ、はいっ!重要犯罪人の会合に立ち会ったにも関わらず、それを報告しなかった反逆罪、だそうでございます……。」
謝罪させる隙も作らずフィストスは立ち上がり、ティグリスに頭を下げ退出した。
小姓の前をまるで彼が見えていないかのように大股で通りすぎていく教育係を、呆れた目で追う第一王子。
「すまないな、フィストスはいつも誰に対してもああなんだ。下からここまで走ってきてくれたのだろう、ご苦労だった。」
第一王子からの思いがけないねぎらいに慌てて頭を下げる小姓。
窓の外へ目をやったティグリスは、おずおずと退出しかけていた小姓を呼び止め、思い出したように言った。
「…その罪人は、どのような罪状なのだ?」
「はっ、はいっ!重要犯罪人の会合に立ち会ったにも関わらず、それを報告しなかった反逆罪、だそうでございます……。」