獅子王とあやめ姫
上から降ってきた冷たい声に息を飲む。
再び強くなる脚の痛みに歯を食いしばっていると、右耳からの雑音に紛れて新しい低い声が聞こえたが、イーリスは顔を上げる気すら起こらなかった。
先程からイーリスを痛め付けている男の返事の仕方から、かなり身分は高いようだった。
またさらに石材が膝下に食い込み、今までとは比べ物にならないほどの痛みが走り、言葉にならない呻き声が口から漏れ出す。
「まだ口を開かないのか。」
イーリスの呻き声が悲鳴に変わり始めたとき、ドアの外で看守兵達の慌てた声がした。
ドアを破らんばかりの勢いで入ってきた人物に呆然とする男たち。
「その娘を放してやれ。」
思いがけない救いの言葉に、憔悴しきっていたイーリスも傷だらけの顔を上げた。
入り口に立っていたのは、この薄暗く血の臭いが漂う拷問部屋にはあまりにも不似合いな雰囲気を持つ少年…青年だった。
再び強くなる脚の痛みに歯を食いしばっていると、右耳からの雑音に紛れて新しい低い声が聞こえたが、イーリスは顔を上げる気すら起こらなかった。
先程からイーリスを痛め付けている男の返事の仕方から、かなり身分は高いようだった。
またさらに石材が膝下に食い込み、今までとは比べ物にならないほどの痛みが走り、言葉にならない呻き声が口から漏れ出す。
「まだ口を開かないのか。」
イーリスの呻き声が悲鳴に変わり始めたとき、ドアの外で看守兵達の慌てた声がした。
ドアを破らんばかりの勢いで入ってきた人物に呆然とする男たち。
「その娘を放してやれ。」
思いがけない救いの言葉に、憔悴しきっていたイーリスも傷だらけの顔を上げた。
入り口に立っていたのは、この薄暗く血の臭いが漂う拷問部屋にはあまりにも不似合いな雰囲気を持つ少年…青年だった。