獅子王とあやめ姫
同じ栗色の髪に橙色の眼をしたイーリスのようなパルテノ人。
先程噂に上った黒髪に翡翠色の眼をした隣国のラトキア人。
海の向こうからはるばるやって来た金髪に碧眼のクレータ人もたまに見掛ける。
外の喧騒と厨房から漂ってくる母の料理の匂い。
この雰囲気がイーリスは一番好きだった。
お気に入りの空気感に浸っていると、紺色の長い外套をまとった男が一人入ってきた。
彼はがらがらにも関わらず隅の机に座り、ほとんど聞こえないくらいの小さな声であまり注文されることのない料理を頼んだ。
「イーリス今日もその髪型?もうちょっと、なんかあるんじゃない?」
注文を母へ伝えに厨房へ入ると、聞き慣れた声がした。
親友のテリである。
厨房の勝手口から入って来たらしく、話し掛けられるまで全く気が付かなかった。
母に注文を言い渡し、テリに向き直る。
「その、なんかって何さ。これが一番良いの、ごみが食事に入らなくて。」
「優しい茶色なんだからさあ、色々工夫すればもっと可愛くなるって。その質素なくくりかたはむしろ私みたいな黒髪にぴったりだと思うわけ。」
「色なんて関係無いよ、確かにその髪型似合ってるけど。いいのいいの、商品にごみも入らなくてテリとお揃いならいいことずくめでしょ。」
先程噂に上った黒髪に翡翠色の眼をした隣国のラトキア人。
海の向こうからはるばるやって来た金髪に碧眼のクレータ人もたまに見掛ける。
外の喧騒と厨房から漂ってくる母の料理の匂い。
この雰囲気がイーリスは一番好きだった。
お気に入りの空気感に浸っていると、紺色の長い外套をまとった男が一人入ってきた。
彼はがらがらにも関わらず隅の机に座り、ほとんど聞こえないくらいの小さな声であまり注文されることのない料理を頼んだ。
「イーリス今日もその髪型?もうちょっと、なんかあるんじゃない?」
注文を母へ伝えに厨房へ入ると、聞き慣れた声がした。
親友のテリである。
厨房の勝手口から入って来たらしく、話し掛けられるまで全く気が付かなかった。
母に注文を言い渡し、テリに向き直る。
「その、なんかって何さ。これが一番良いの、ごみが食事に入らなくて。」
「優しい茶色なんだからさあ、色々工夫すればもっと可愛くなるって。その質素なくくりかたはむしろ私みたいな黒髪にぴったりだと思うわけ。」
「色なんて関係無いよ、確かにその髪型似合ってるけど。いいのいいの、商品にごみも入らなくてテリとお揃いならいいことずくめでしょ。」