獅子王とあやめ姫
 彼らの甘い汁を吸いたいがための横行は目に余るものがある。

 このままでは時期に内側からこの国は腐り落ちてしまうだろう。

 なんとしてでもそれは避けなければならないことだった。

 そんなこの国のていたらくが目に写っていたのは自分だけではかったようで、だからこそ奴等は手を伸ばして来たのだった。

 (あの娘の命を狙っているのがラコウンということは、殿下には伏せておこう。)

 あの王子殿下のことだ、きっと親身になって見えない敵から娘を守ろうとするだろう。

 彼ならきっとイーリスのパルテノへの憎しみを増幅させる良い機械になってくれるはずだ。

 (優しくされた思い出は、沢山あればあるほど裏切られたときの悲しみが大きくなるからな。) 

 今のところ、ことは順調に進んでいる。

 だがこの重苦しさはなんなのだろう。
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