ごめん、帰らなきゃ。(完)
episode2
『頑張って来てね〜。』
咲希の1時間前の言葉がよぎる。
授業が終わって、ようやく自由だと言うのに、あたしは自由なんかじゃない。
それは、体育祭実行委員に指名されたこともあるが...。
それより、水無月が...。
「おい、行くぞ。」
そうです。あたしは行かないと言ったのに、腕を掴んで強引に屋上へと引っ張るんです。
抵抗して、こっちで引っ張ったら、確実に腕が取れそうな力で。
「いったい! ちょっと、痛いって言ってんじゃん!! 離して!!」
「嫌だ!!」
は? 何が嫌なの? 何が不満なの!?
「離して。」
「嫌だ。」
「離して。」
「嫌だ。」
その時、あたしの怒りの糸が切れた。