ごめん、帰らなきゃ。(完)
「どーせあたしは鈍感だよ。
...だから、まったく気づいてなかった。だがしかし!!
あたしは謝らない!! こんなにバクバク言ってる心臓なんて、信じられないから!! 」
頬が赤くなってるのが、自分でもわかる。
息ができないぐらい、心臓がバクバク言ってるのも...。
...違うよコレ...。
あたし彼氏いるから、今ここに先輩来たらどうしようとか思って心臓がうるさいだけ!!
ねぇ、あたしの心よ...。そう言う事じゃないの?
好きだからとか、絶対ないよね!?
「吉木先輩来たらヤバイよ...。勘違いされそう。」
ガタンッ
そういった瞬間、入り口の裏の方から物音が聞こえる。
「誰かいるのかな?」
......あたしは、そういうはずじゃなかった。
まさか、吉木先輩が、女の人とキスしてるなんて...。
「うっ」「静かにしろ。」
水無月は、そう言って、表の入り口の方へ戻してくる。
「泣いていいんだぞ? 強がるな。
お前の強がりは、誰も幸せになんかしない。」
もう、わかってるんだって...。
自分が、吉木先輩のこと好きじゃなくなったことぐらい。