ごめん、帰らなきゃ。(完)
期待する
【水無月 晴馬 side】
俺は、ちょっと...いや、めっちゃ好きな子がいる。
その人は、紅月美帆。
めちゃくちゃ可愛くて、モテる。
サバサバした性格で、笑顔の破壊感は、世界が滅亡しそうなぐらい...。とにかくヤバかった。
なのに、とても鈍感。しかも彼氏持ち。
俺に振り向いてもらう術なんて...。
「今日、実行委員決めるって。」
そうだ! 実行委員だ!
「実行委員やりたい人〜。」
俺は、誰もあげてないのを見て、挙げた。
「は」「ねぇ、有橋。」
手を挙げかけた瞬間、紅月の声が聞こえた。
他の男と離すなよ...。
俺だけのお前でいてほしい。
ってか俺、こんなに独占欲強かったのか...。
紅月が他の男と楽しそうに話した、挙句の果てには...
「ペアは紅月で。」
有橋が、そう言う。
明らかに紅月の顔が引きつる。
「 まぁ、なっちゃったんだし仕方ないね。有橋、頑張ろっか。 」
紅月、朝あんなに嫌がってたクセに...。
意外とあっさり実行委員を引き受けた。
なぁ、紅月...。お前は有橋が好きなのか...?
あの場で俺が、有橋と同じことをしたら、絶対に言い合いになる。
手を挙げなくて良かったのか...?