ごめん、帰らなきゃ。(完)
「どーせあたしは鈍感だよ。
...だから、まったく気づいてなかった。だがしかし!!
あたしは謝らない!! こんなにバクバク言ってる心臓なんて、信じられないから!! 」
"謝らない"
それって...。一応返事は保留ってこと?
それに、心臓がバクバク言ってる?
ねぇそれ、俺のこと、好きなんじゃないの?
「先輩来たらヤバイよ」
紅月がそう言っているとき、屋上の裏の方から物音が聞こえた...。
信じられねぇだろうな。
彼氏が別の人とキスしてるんだもんな。
なぁ...俺だったら、そんなことしない。
お前が言うような、優しくてカッコイイ男になってやる。
「泣いていいんだぞ? 強がるな。
お前の強がりは、誰も幸せになんかしない。」
でも、紅月は泣かなかった。
俺に抱きしめられて、頬を赤くしていた。
期待しても、いいのかよ?
反則だろその顔は...。
また、好きになる。