ごめん、帰らなきゃ。(完)
そして、眠れずにあっという間に朝。
ふああ...
夜のあれは、夢だったのだろう。
でも、寝不足で、目があまり開かない。
「行ってきます」
そして、玄関を開けると...。
「...!?」
あまり開かなかった目が、パッと開いた。
だってだってだってそこには...
水無月がいるではありませんか。
あたしは、静かに前を通り過ぎて、喋りかけてくるのを無視して歩き続けた。
「おい紅月!!」
「......」
「おい、紅月美帆!!」
「......」
「おーい!! 紅の月の住民!!」
「え!! なんで知って...。」
「やっとこっち向いてくれたし...。ねぇ、知ってる? 好きな人に避け続けられると痛い。」
「どこが?」
「心が。」