ごめん、帰らなきゃ。(完)
そして、あっけなく夜は訪れる。
また、いつかのフラッシュライト。
「お迎えに上がりましたよ...。」
その光は、優しくそう言った。
雲の上に乗っていた、豪華なイス。
その左側には、何かの魔法をかけられたような水無月が座っている。
「姫、早くお乗りください...。殿もお待ちでございます。」
あたしと水無月は、高身分だった。
ってか、今はそんなことじゃない。
還ったら正解なのか...(まぁ、残るなんてできないと思うけど)。
あたしは、静かに月光神の手を取った。
その手を取るともう、何もかもを忘れた。
横に座っている人が誰なのかもわからない。
でも段々と雲の上にのった、月の都の人々の名前が蘇ってくる。
月のお姫様はもう、恋なんて忘れてしまったのだった。