ごめん、帰らなきゃ。(完)
「体育祭? えぇ、もうそんな時期?」
「うん。今日、実行委員決めるって。」
「へー...。」
「紅月!! おはよー。」
「おはよう。」
咲希と話していると言うのに、いきなり割り込んでくる男。
「実行委員、俺と一緒にやらない?」
「ええ。めんどいよ。ほかの人に頼みな。」
こんな誘いを何回受けただろう。どうしてみんな、あたしとこんなめんどい仕事をやりたいんだろう。あー、そうですか。成績はいい感じに取られておいて、あたしに全部やらせて、自分はサボるつーのか。
「どこまで大胆極まりないんだ...。」
「いーかげん分かれ、この鈍感。」
「はぁ!? 水無月までなんなんだよ!!
あたしは鈍感じゃないって言ってんじゃん!!」
「いーや鈍感だ!! 俺の気持ちを、全然理解してくれない!!」
「はぁ!? あんた見ただけであんたの気持ちがわかるとか、テレパシーかよ!! 分かんないに決まってんじゃん!!」
「だから、それを鈍感って言うんだよ!! だいたいお前なんなんだよ!! みんなから実行委員に誘われてるし!! 」
「鈍感じゃないって言ってんじゃん!! それなら、思ったこと正直にちゃんといいなさいよ!! あー、悪かったね実行委員誘われて!! めんどうだからやりたくないんじゃん!!」
「めんどいからやりたくないって、男の気持ちなんだと思ってんだよ!! 勇気出して誘ったんだから、もっと切実な理由を返せ!!」
「はぁ!? 何が切実な理由だよ!! めんどいも十分切実な理由だよ!!」
「だから俺は──!!」