ごめん、帰らなきゃ。(完)
「......次の休み時間、話があるから、屋上。絶対来い。」
「はぁ!? 行かないから絶対。」
あたしの声は、確実に水無月に届いたのに、まぁ、当たり前の無視。
「あーあ。水無月って面倒くさいなー。あのキャラあんまり好きじゃない。」
あたしがそう言うと、咲希は、目を見開いた。
「......あんた、まじで分かってないの? あのキャラって、美帆だけにやってるんだと思うんだけど。」
「え? それって...どういうこと!? まじで、全く意味がわかんないし!!」
「あんまりでかい声で言わないの。水無月落ち込んじゃうよ?」
落ち込むって......。あいつが?
「あぁそうですよ。俺は素直じゃなくて優しくなくて面白くなくて...。そうですよわかってますよ...。」
おとなしく自分の席に座っていた水無月から、なんか呪文みたいな声が聞こえる。
「あ、え!? 水無月!?」
本気でショックを受けている水無月に、あたしは呆然とする。
まさかのまさかだ。あいつが落ち込んでいる。
「開いた口がふさがらないって、こういう時に使うのか...。」
「まーね。あー。チャイム鳴ってるし...。じゃあ、次の休み時間頑張ってね。」
「えぇ!? だから、行かないんだって...。」