君の隣
私は、上田が待つ部屋へ入る。
なつ「失礼します。」
上田「おぉ、入れ。秋風、今日は、よう来てくれた。皆、喜んでおった。」
なつ「それは、良かったです。」
上田「いつもは、この刻は会えんのに来たということは・・・。」
なつ「上田様・・・。私は、上客になる方々を紹介して頂いたお礼を言いに来ただけです。お酌をさせて頂いたら、帰ります。」
上田「ほんに連れない奴だ。でも、そこが良い。絶対、落としてやると思わせる。」
なつ「そうですか?私は、難攻不落の城なんでございましょう?」
上田「はははっ。そうだ!どう、城攻めをしたものかのぉ!」
私は、お酒を次々と注ぐ。
自分も、もう、どれくらい飲んだだろうか・・・。
すると・・・。
上田は、得意げに話し始める。
上田「どんどん酒を持って来い!上等な酒しか飲まんぞ!」
なつ「そういえば、最近、上田様は随分と羽振りがよろしいのですね。大変、ご出世をされましたか?」
上田「まぁ、それもあるが、金の打ち出の小槌を見つけた。」
なつ「打ち出の小槌?」
上田「あぁ。2つ書けば、金が湧き出る。くくくっ。」
なつ「そんな小槌あったら良いですね。」
二重帳簿か・・・。
なつ「でも、見つからないんですか?」
上田「金には色々と、項目がある。なかなか、手の付けていない物があるのだ。」
なつ「悪いお方。」
上田「そうだな!こんな俺は、悪代官だ!はははははっ!」
そのまま、たっぷりと酒を飲ませると寝てしまった。