君の隣
いけ好かない男女~高杉Side~
幼い頃より、何不自由なく、育てられた。
そして、将来の道も決まっている。
若君のご学友として、明倫館へ通うも全く息苦しい。
そんな時、久坂に連れられて、松下村塾へ行き松陰先生と出会う。
松陰先生は、いつも久坂を褒めた。
身分も家柄も俺より低い久坂を褒め、俺が貶される意味が分からない。
最初は、松陰先生を見返してやろうと思っていたのかもしれない。
しかし、松下村塾へ入り浸ること数日。
「すみません。そこを譲ってくれませんか?」
チラッと声がした方を見ると、岡っ引きの格好に羽織を纏った女だ。
女には、兵学なんぞ、必要ないではないか。そう思い、無視をした。
すると・・・。
「退いて下さい!そこは、私の席です!」
他にも、席があるのに、ここが良いという女。
俺も意地だ。
高杉「おなごごときが、兵学なんぞ学ばなくて良いであろう?」
「学ぶのに、男も、おなごも関係ありません!」
すると、女は、無理やり俺と先生の間に座った。
高杉「おーまーえぇぇぇ!」
脅すと、女はがプィっと、顔を背けて、無視をした。
俺は、女の肩を掴み、自分の方へ向かせた。
「何するんですかっ!」
高杉「お前が入ってくるからだろっ!しかも、無視をするなっ!」
なつ「あなたが、最初に無視をしたんですっ!それに、私は、最初に、退いてと言いました!」
なんと、可愛げのない女だ。
高杉「俺の名は、高杉 晋作だ!お前に、あなたと言われる筋合いはない!無礼者!」
なつ「あっそ。た・か・す・ぎ!」
すると、女はもっと無礼になり、呼び捨てにして来た。
高杉「なっ・・・!お前はっ!もっと無礼ではないかっ!お前、名を名乗れ!」
なつ「私の名は、なつです。ここの塾に入塾したの?まぁ宜しくね?」
高杉「お前・・・。どこの者だ!?」
無きにしもあらず、どこかの姫か?
なつ「高杉に教えてやる義理はない!大組の高杉家の嫡男サン♪」
久坂「っぷ。あはははは。お前ら、仲が良いな。」
仲が良いだと!?
高杉・なつ「良くないっ!」
全員「あはははは。」
有り得ない!
可愛げのない女めっ!ああ言えばこう言うし!!腹立つ~~っ!
それから、毎回のように俺と女は、松陰先生の隣の席を争った。
・・・とまぁ、こんな調子で、毎日を過ごしていた。