君の隣
今度は何を言われるのかな・・・。
高杉父「おまえ達まだ、会っているようだな・・・。」
なつ「仲間です・・・。でも最低限です・・・。」
高杉父「これを、晋作に渡してきて欲しい・・・。」
なつ「書状・・・。何故、私が?」
高杉父「帰ってくるよう説得して欲しい・・・。そして・・・。帰ってきたら、晋作は祝言を挙げる。」
なつ「祝言?」
私は、無意識に、顔が引きつった。
高杉父「もちろん、君とではない。井上平右衛門の次女おマサだ。」
なつ「井上様の・・・。」
何でだろ・・・。クラクラする・・・。
高杉父「アイツには落ち着いてもらわないといけない。家庭が出来れば、アイツも落ち着く。わかったね?君は、晋作に、相応しくないんだ。必ず連れて帰ってきてくれ。君にだったら出来るだろ?アイツは、君の言うことは聞くから・・・。宜しく頼んだよ?おなつ殿。」
帰ってきたら、高杉は、祝言を挙げる・・・。
それを、聞いてやっと自分の気持ちがわかった・・・。
私は・・・。高杉が好きだ・・・っ。
好きって言えなかったのは、こうなることがわかってたから・・・。
高杉の父上の言うとおり。
私と大組の嫡男。身分が違いすぎる。
私は、高杉の父上から預かった書状を持ち、江戸へ向かった。
江戸なんか着かなきゃ良いのに・・・。
私の心は鉛が落ちたように重い。
私は、すぐに高杉には会わず先生の所へ行って牢獄に忍び込んだ。
先生は、特に罪はなくすぐに釈放されるとのことだった。
私は先生に、高杉の事を全てを話した。
松陰「おなつ・・・。おなつは、高杉君とどうなりたい?」
なつ「わかりません・・・。」
松陰「例えば、高杉君におなつの気持ちを言えば、きっと、彼は君を取る。しかし、彼は、親と君の間で苦しむ。そして、君は家を護ることになる。君の志はどこにある?それによって、進む道は変わる。」
そうだ・・・。私は・・・。政に関わりたい。
私は決める。
なつ「松陰先生!私は、高杉を政で支えたい!女としても支えたい気持ちはあります!でも、家に入るか、政で支えるか、どちらか選ぶなら、政です!先生!お願いがあります!」
私は、ちょうど悩んでいるという高杉に先生は、高杉宛ての書状を書いてくれると言ってくれた。内容は、これからの道しるべ。
なつ「先生!ありがとうございます!」
そして・・・。私は、高杉に会った。
お父上からの書状を渡す。
高杉「はぁ・・・。またか・・・。」
なつ「今回は、私と一緒に帰ってもらうからね?」
高杉「父上も考えたものだ・・・。」
なつ「小忠太様の作戦勝ちだね。」
そして、高杉は、私と一緒に帰ることになった。
そして、帰る前に、先生に会いに行った。
なつ「先生!行ってきます!先生?口は災いの元とも言いますので気を付けてくださいね?」
高杉「そうです!戻られるの楽しみにしております。」
松陰「二人ともありがとう。高杉君、これを。」
この前、お願いした書状だ・・・。
松陰「高杉君、おなつは、必ず、どんな形でも側で助けてくれる。一つの形に捕らわれちゃダメだよ?」
高杉「?・・・。はい。わかりました。」
そして、私達は、江戸を出た。
これが、松陰先生との最後に交わす言葉となった・・・。