君の隣


近くの宿屋に泊まる。




私は今日の事を布団の中で思い出す。



沖田さんとの試合面白かったな。



また、試合したいな。









うつらうつらし始めた頃。


ん?気配がする・・・。



私は、桂さんの部屋にいく。



なつ「桂さん!起きて!外に誰かいる!」




桂「何人だ?」




なつ「調べてきます。」




私は、外の気配を数える。



20人近くいる。



私は、部屋に戻り、桂さんに、報告する。



桂「どうするか・・・。」



なつ「逃げましょう!二人で20人は多すぎです。」



すると、襖がそーっと開いた。



なつ「え?」


「あ・・・。」


「あ・・・。」




男二人が小さくなって、しまった!とバツが悪そうにしている。




なつ「やっぱり、来たんですね・・・。しかも、沖田さんまで。」



土方「お前、まだ、起きてたのかよ。てっきり、寝てるかと思ったのに・・・。夜這い失敗だ。総司。」



沖田「ふふふっ。残念だな。おなつさんのこと結構、気に入ってたんですけど。」



なつ「今、取り込んでるので、また今度・・・。」



桂「そうだな。今から、俺達、逃げようと・・・。」



土方「外の夜這い待ってる奴か?」



なつ「もしかして・・・。今日の・・・?」



沖田「多分。今日の試合の時に見た顔もありました。」




この人達、気付いてるの?外の連中に!って外から来たんだっけ・・・。



あ・・・。良いこと考えた!





なつ「桂さん、4人なら、話は別!」



桂「でも、この二人を巻き込む訳には・・・。」



沖田「何?」



なつ「人を斬った事は?」




これは、絶対、聞いておかねば!武士では無さそうだし。この人達・・・。




二人とも、首を横に振る。



ダメか・・・。



すると、土方さんがニヤリと笑う。



土方「良いぜ。手伝う。」




沖田「土方さんがするなら私も。」



私は気が進まなかった。



人を斬る事。即ち人を殺す事だ。



なつ「あなたの志は?」





今から、人殺しをさせるのだ。なにかの為でないとダメだ。



土方「はぁ?」



私は、自分の志のために何でもするんだ。という気持ちを見せた。




なつ「私は、日本を変えたい。おなごでも政に参加出来るような国にしたい!それを私が出来ると証明したい!」



土方・沖田「っ・・・。」



土方「ふっ。でっけぇ夢・・・。志だな!俺は、侍になりたい。」



沖田「私は、近藤先生のお役に立ちたい!」






二人とも覚悟はあるようだ。




桂「ふっ。若いなぁ。では、頼めるのか?」



土方「あぁ。」



沖田「はい。」



そして、作戦会議。




土方「ここは、二手に分かれ・・・。いや・・・。4人バラバラで行動だ!」



この人、私と同じ考え・・・。戦なんてしたこと無いだろうに・・・。頭のキレる人なんだ。




そして、四方向から、取り囲む作戦。




私は、二人に二本の持っていた刀を渡した。




まぁ、試衞館に来る前に襲われた時の戦利品だけど。





そして・・・。





パァン。




私は、合図のピストルを撃つ。




シュタタタタタ。バシュ!シュパ!




斬り込んでいく。あちこちで、人を斬る音や呻き声がする。





しばらくして、辺りが静かになった。



なつ「土方さん!沖田さん!」



二人の安否を確認しにいくと、彼らは、呆然と自分の手を見ていた。



なつ「大丈夫ですか?」



土方「人を斬る感覚は、こういうものか・・・。」


沖田「えぇ。私も、同じ事を思っていました。」




私は、二人を抱きしめた。



なつ「ありがとう・・・。」



土方「この礼は、身体で払え・・・。」



沖田「そうですね。」




なつ「あんたらがいい男になったらね?今度、会ったときにはまた試合してください。決着着けましょう!」



土方「ふっ。」



沖田「じゃあ頑張らないと!」



桂「行くぞ。」


なつ「はい。では、二人とも気をつけて!ありがとうございました!お元気で!」




二人と別れた。





私の心は、人を斬った後なのに、清々しい気持ちだった。
< 43 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop