君の隣
安さんが帰っても高杉は、私を抱きしめて、頭を撫でた。
そして・・・。
高杉「なつ・・・。」
そう呼ばれて、顔を上げると、口付けをされた・・・。
ゆっくりと唇が離れる。
高杉「萩に、帰ろう・・・。」
優しい手に、優しい声に、優しい口付け・・・。
何でこんな事するの?
苦しいよ・・・。
なつ「嫌・・・。稔麿さんに会いに行く・・・。」
高杉「本当に、お前は、尻軽だ。」
なつ「稔麿さんに会いたい・・・。」
高杉「お前って奴は・・・。本当に何を考えてるかわからん。」
なつ「途中まで一緒に帰る。」
高杉「わかった・・・。」
私の恋の相談役の稔麿さんに相談したい・・・。
そして、私達は桂さんや、久坂さんに見送られて、8月末に江戸を出た。
久坂「高杉の奴、ダメですね・・・。」
桂「あぁ・・・。妻がいるくせに、おなつちゃんの求婚を断りにいくなんざ、よっぽどだ・・・。」
久坂「じゃあ、なんで、祝言を挙げたんだ?」
桂「父上だろうなぁ。家のために婚礼したんだろ。高杉は、おなつちゃんの事を離さない・・・。きっと、おなつちゃんは一生独身だ・・・。」
そんな事を言われてるとはつゆ知らず、私達は、江戸を出発したのだった。