君の隣
6日の夕刻にやっと、日光に着いた。
なつ「さっき、旅人から、日光衛士の山口 為之助様という方がいらっしゃるんだって。」
高杉「で?」
なつ「撃剣を好んでいるお方らしくて、他国の剣豪を留めて試合してるらしいよ?行ってみる?」
高杉「面白い。もちろんだ!行くぞ!」
そして、山口様の道場まで来た。
なつ「すみません!」
山口の弟子「何だ?」
なつ「山口様の噂を聞きました!一つ手合わせの試合をお願いしたいのですが・・・。」
山口の弟子「はぁ・・・。山口先生は不在だ。」
なつ「いつ、お戻りになられますか?待たせて・・・。」
山口「うるさいなぁ!先生は今、お忙しいんだ!おまえ等と試合なぞせん!さっさと帰れ!」
高杉「なっ!お前・・・っ。無礼で・・・。」
なつ「あぁー!高杉様!行きましょう!失礼した!」
私は、高杉を引っ張り、道場を出た。
高杉「何なんだ・・・。あれは・・・。はぁ・・・。幕府の悪臭・・・。怒る気にもならん。」
宿で、高杉は、次の日の案内人を雇った。
なつ「ねぇ、高杉どこ行くの?」
高杉「ん?この辺は、観光が出来る地だからな。見て回るのも良いかと思った。」
なつ「そっか・・・。」
そして、裏見の滝や中禅寺湖などを見物した。
なつ「なんか・・・。綺麗・・・。」
滝や湖がお天道様の光でキラキラしてる。
高杉が私を後ろから抱きしめた。
なつ「高杉・・・。こういうのはやめようよ・・・。」
高杉「なつ・・・。」
高杉は、私の頭に口付けをし、唇を滑らし、耳や頬に口付けた。
高杉は、私を抱きしめていた腕を強めた。
なつ「高杉・・・。止めて?」
高杉「なぁ。お前・・・。俺の事・・・。」
なつ「高杉!ダメ!それ以上は、言わないで?」
目頭が熱くなる。
向きを変えられてお互い見つめ合う。
唇を指でなぞらる。
高杉「もうしないから・・・。そんな泣きそうな顔するな。」
額に口付けをされて、そっと離れた。
次の日の8日。
日光東照宮に参詣した。
高杉「賽銭を取り僧侶が俗民を悩ます慨嘆にしか映らん・・・。」
私も、同じだ・・・。松陰先生は幕府に殺された・・・。
ここは、幕府の権力の象徴・・・。諸大名が奉納した石灯籠も並んでる。
はぁ・・・。素直に楽しめないや・・・。
それは、高杉も一緒のようだ。