君の隣
なつ「次は、どこへ行くの?」
高杉「壬生に行く。」
なつ「壬生?」
高杉「あぁ!壬生は、神道無念流の流祖、福井兵右衛門先生がいる。」
高杉は、松本五郎兵衛様に書状を出した。
松本様は聖徳太子流の遣い手だ。
そして、松本様の門弟の方が来た。
門弟「高杉様、明日の明朝、肥前藩士の方も来るので、高杉様も同時に試合をしましょうということです。来ていただけますか?」
高杉「勿論だ。」
そう言って、門弟さんから書状を受け取った。
すると、その後、一緒に試合をする、肥前藩士の田中様が来られた。
田中様は以前、別人を装い、長州で剣術の修行をしていたのだという。
高杉「凄い縁だな!」
なつ「そうだね。高杉、嬉しそう。」
高杉「もう、10日だぞ。やっと試合が出来る!楽しみだ。」
しかし・・・。
高杉は、松本先生に一度も勝てなかった。
高杉は、剣術で生きていこうとした時もあったと、前に言っていた。
自信が見事に砕かれた。
余程、負けたのが悔しかったのか、それからの落ち込みようはすごかった。
何度、行っても、結果は同じ。
高杉「くそっ!柳生新陰流が、あんなっ!あんなっ!聖徳太子流の・・・。田舎侍に一度も勝てないなんて・・・っ。」
なんて言ってあげたら良いんだろう。
なつ「高杉・・・?」
高杉「なぁ・・・。なつ・・・。俺は・・・っ。免許を授かったのに・・・何をやってんだろうな。」
なつ「田舎にも剣豪と呼ばれる人は沢山いる。負けたら悔しいでしょ?また、鍛錬して、強くなって、次、また、松本先生に勝負挑もう!そういう人がいる方が、頑張れるよ!」
高杉「好敵手?」
なつ「そう!それ!」
高杉「ふっ。それじゃあ、早く強くならないと、先にあっちがくたばるかもなぁ。」
なつ「ちょっと!それは、言っちゃダメでしょ!」
高杉「お前はいるのか?そういう奴。」
なつ「いるよ。試衞館の沖田さんと土方さん!負けたら身体を捧げなきゃいけないし?」
高杉「お前は・・・。はぁ・・・。だから、尻軽なんだ!」
なつ「その意味が、全くわかりません!」
二人で見つめ合う。
高杉・なつ「ぷっ。・・・。あははははは!」
高杉「では、ちゃんと、鍛錬し直す。」
なつ「日記もまた書くの?止めてたでしょう?」
高杉「日記って・・・。試撃行日記!・・・って、日記か・・・。」
久々に、笑った。