君の隣



萩を発ってしばらくすると、先生が、暗殺を企てているとのことで、また獄に入れられたとの知らせを受けた。



高杉「なんと言うことだ・・・。」



桂「どうしたものか・・・。」



久坂「先生は、塾生達に協力を得てるんでしょ?俺らの所にも来るだろうね?」



高杉「だろうな・・・。」



桂「無謀過ぎる・・・。」




そんな時になつが現れた。







なつ「失礼します。」



高杉「なつ!」


桂「おなつちゃん!」



久坂「先生は!?」



なつ「正義にのめり込んでます・・・。時に声を荒げて・・・。歯止めが効かなくなってます。私は・・・。先生に冷静になってと説いたんですが・・・。絶交されました・・・っ。」



絶交されたとなつは泣いた。



普段、泣かないコイツが人前で泣くとは、よほど、先生からの絶交が堪えてるようだ。



久坂「絶交?」



俺はなつを抱きしめた。



するといつもは抵抗するなつもこの時は、迷子のわらしが母を求めるように俺にしがみついていた。


そして、俺達も落ち着いて欲しいという内容の書状と、皆で血判を作りそれを添えて、桂さんが先生に届けることになった。







俺は、なつが持ってきた父上の書状を見ていた。


俺は、松陰先生の望むことをしたい。



だが、家のことがあるため、どうしても動けない。



父上には、何もしませんから安心してくれとの書状を送った。



何もかも父上の言いなり・・・。足枷は俺を、いつも、苦しめる・・・。




でも、俺は、高杉家の嫡男だから家を守る役目がある。




それは重々、承知だが・・・。




息苦しくなる時がある。





こいつだってそうだ・・・。



高杉「今日、俺の所へ来い。」



なつ「高杉・・・。ごめん。行けない。」



少し前からなつは、おかしい。





俺は、なつを部屋に連れ込む。




中に入ると、なつを抱きしめた。




なつ「高杉・・・。」




高杉「俺は・・・。先生のお役に立ちたい・・・。でも、父上は・・・っ。俺は・・・。俺は・・・。」




俺は、どうしてこいつの前だと心の本音を言えるんだ?弱い部分をさらけ出せる?



なつ「先生もきっとわかってくれる。だから、信じようよ。お父上に背いてまでしてはダメだよ?ね?」




高杉「お前も父上に言われたんだろ?だから、俺を避けてる・・・。」



なつ「それは・・・。」




何も言わない。やはりそうか。父上に何か言われたんだ。




高杉「なつ・・・。」



接吻しようとしたら、手で、それを止められた。




なつ「ダメだよ。」



拒否されたことに無性に腹が立ち、なつの首筋に噛みついた。



なつ「ちょっと!」



高杉「拒否するお前が悪い。」



それから幾度も、なつとの交わりを求めたが、拒否され続けた。



しかも会わないようにも避けられた。




俺は、なつの気持ちが、わからない。




そして、なつは、萩に戻ってしまった。


< 52 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop