君の隣
もどかしい関係~高杉Side~
しかし・・・。
ダメだ・・・。
気持ち悪い・・・。
高杉「おえぇぇぇぇぇ・・・。」
俺には、合わない。
そんな地獄の日々からやっと2ヶ月後江戸に着き船酔いから解放された。
やっと着いたら、なつが迎えに来た。
なつ「久しぶり。」
抱きしめたかった。
前を歩くなつの背中を見てると、手が伸びた。
そして・・・。
触れずに、下ろした。
長州藩邸まで来るとなつは、出て行った。
桂さんが来た。
桂「お前、よく来れたな?」
高杉「どういう意味だ?」
俺は、桂さんを睨んだ。
桂「怖い顔するなって!こんなご時世で、お前の親父さんが許してここに来れたって意味だ!」
俺は気になっていたことを聞いた。
高杉「桂さん。佐世八に送った書状の中の“姫”って・・・。」
桂「あぁ・・・。おなつちゃんだ・・・。」
高杉「やっぱり・・・。」
桂「これ見ろ。」
高杉「刀?」
鞘から抜いた刀には血がこびり付いている。
俺がしたかったことをやってのけたなつが羨ましかった。
その夜、宴が行われた。
高杉「なつがいない・・・。」
俺は、なつがいる長家の場所を聞いて訪れた。
声をかけても、何も返事がない。
戸を開けると、なつは涙で頬を濡らして、眠っていた。
わざと大きい音を出す。
すると、なつは、目を覚ます。
そして、仇討ちの礼を言う。
一通りの話を済ませると、沈黙になった。
俺は、気になることを聞くことにした。
高杉「なぁ、お前・・・。俺の縁談の事、知ってたのか?」
少し、曇った表情だ。
なつ「知ってた。」
高杉「お前は・・・。俺のこと、どう思ってたんだ?」
なつ「今更、聞いてどうするの?私が、好いてたよって言ったら、奥方様に三行半を渡すの?違うでしょ?だったら、私の気持ちなんて聞かなくて良い。」
確かにそうだ・・・。そうだけど・・・。
高杉「そうだな・・・。確かにそうだ・・・。こんな所まで来て悪かった。でも・・・。」
俺はなつを抱きしめた。
なつ「ちょっと!何するの!?」
なつの首筋に唇を当てる。
なつを感じたかった。
先生の事だってそうだ。
高杉「少しだけ、このまま・・・。先生の仇・・・。討ってくれてありがとうな・・・。俺は・・・。動けなかった・・・っ。でも、なつが無事で良かった・・・。」
なつは、オレの背中に腕を回した。
なつ「ううん。動ける者が動けば良いんだよ。高杉が動かないといけない時がきっと来る。だから、高杉が、動けない時は私が動く。これを私はしたかったんだよ。心配してくれてありがとう。」
高杉「なつ・・・。」
やっぱり俺は、お前を、手放すなんて出来ない・・・。
そして、少し体を離して見つめ合う。
この目を見てると吸い込まれそうだ・・・。
触れたい・・・。
なつ「ダメっ!」
なつは俺の口元に手を置いた。
やっぱり拒否されるんだな・・・。
なつ・・・。俺は、お前の事を愛してる・・・。
気持ちが、抑えられない。
高杉「なつ・・・。俺は・・・っ。」
俺は、自分の気持ちを伝えようとしたら、またはぐらされた。
なつ「高杉・・・っ。あ!そうだ!飲みに行こう!良いところ見つけたの!ね?」
俺は「はぁ・・・」。と溜め息を零し、一度、ギュッと抱きしめた。
俺は仕返しに、なつの首筋に唇を這わせて、チュッと吸い上げた。
なつ「ちょっと!何するの!?」
高杉「虫除け。」
本当に子供じみたやり方だ。