君の隣
ヤな奴!
しばらく経った頃・・・。
松下村塾へ行くと、私の定位置に、一人の男が座っていた。
なつ「すみません。そこを譲ってくれませんか?」
すると、男はチラと私を見て、プィっと顔を背けて、無視をした。
なっ・・・。無視!?
なつ「退いて下さい!そこは、私の席です!」
「おなごごときが、兵学なんぞ学ばなくて良いであろう?」
なつ「学ぶのに、男も、おなごも関係ありません!」
私は、無理やり、その男と先生の間に座った。
「おーまーえぇぇぇ!」
この人・・・。そうだ。大組の嫡男だ。
今度は、私がプィっと、顔を背けて、無視をした。
すると、男は、私の肩を掴み、自分の方へ向かせた。
なつ「何するんですかっ!」
「お前が入ってくるからだろっ!しかも、無視をするなっ!」
なつ「あなたが、最初に無視をしたんですっ!それに、私は、最初に、退いてと言いました!」
高杉「俺の名は、高杉 晋作だ!お前に、あなたと言われる筋合いはない!無礼者!」
なつ「あっそ。た・か・す・ぎ!」
高杉「なっ・・・!お前はっ!もっと無礼ではないかっ!お前、名を名乗れ!」
なつ「私の名は、なつです。ここの塾に入塾したの?まぁ宜しくね?」
高杉「お前・・・。どこの者だ!?」
なつ「高杉に教えてやる義理はない!大組の高杉家の嫡男サン♪」
久坂「っぷ。あはははは。お前ら、仲が良いな。」
高杉・なつ「良くないっ!」
全員「あはははは。」
なんっっなの。コイツ。
腹立つ~~!
それから、毎回のように、私と高杉は、松陰先生の隣の席を争った。
高杉「お前っ!また!退け!男女っ!」
なつ「うるさい!ワガママ男!高杉に言われたくないっ!」
高杉「お前がおなごとか有り得ん。そんなんじゃ、嫁の貰い手なんかないだろ?」
なつ「私は、あんたみたいな容姿しか見ないカスッカスの男には興味ないの!」
高杉「お前、俺をバカにしてるのかっ!斬るぞ!」
なつ「お前なんぞに斬られるかっ!」
高杉「何だとっ!」
松陰「そろそろ、始めても良いかな?」
なつ「すみませんっ!こんな奴、放っておいて始めましょう!」
高杉「オイコラ!こんな奴とは、何だっ!」
なつ「高杉、うるさい!私は、あんたと喧嘩するためにここに来てるんじゃない!黙れ!」
高杉「その言葉、そっくりそのまま返す!」
・・・とまぁ、こんな調子で、毎日を過ごしていた。
そして、しばらく経ったある日、私は、花街の女将さんに依頼を受けた。