君の隣





そんな時、宿に高杉が来た。




高杉「邪魔をする。」


なつ「え・・・?何でいるの!?上海にいたんじゃないの!?」



高杉「帰ってきた。明日、殿に謁見する。」


なつ「へぇ・・・。どうだった?上海!」



私は高杉から、アームストロング砲という素晴らしい大砲や、向こうで出来た友人、そして、日本がこのままだと危険だという話を聞いた。



なつ「そうか・・・。でも現地の人が、橋を渡るのにお金を払わないといけないって、かなり屈辱ね・・・。」



高杉「あぁ。まぁ、橋が壊れて、欧米諸国が橋を直したからとも聞いたが・・・。負けると、あぁなるんだ。このままだといずれ日本もあぁなる。武力を備えないといけないのに、長崎で、軍艦を購入する手続きをしてきたのに、上の奴らときたら、反対しやがったんだ!」




高杉は、憤っていた。




なつ「明日、その事も、殿に相談するの?」



高杉「あぁ。」




そして、少しの沈黙・・・。





高杉「お前は、どうしてたんだ?」


なつ「私?私は、いつもと変わらないよ?知り合いは増えた。また、誰かさんに、「尻軽!」って言われそうだけど!」




高杉「はははっ。そうか。で?稔麿とはどうなった?もう夫婦になったのか?」




なんか、高杉にこの話をする時は、罪悪感が生まれる。



しかも、胸が痛くなるよ・・・。



なつ「なってないよ。調べ物であちこち動いてたし。稔麿さんにも、愛想を尽かされちゃうね・・・。はははっ。」




少し、安堵した顔つきになった。・・・気がした?・・・。やっぱり、わからない。





そして、ゴソゴソと懐から何かを出した。




高杉「これやる。」




渡されたのは一丁の銃だった。



なつ「うわーっ!これ、すごいっ!懐に入れれる!威力は?」




高杉「他のと変わらない。」




なつ「撃ってみたい!」



外に出て、誰もいない森の中に入る。




そして、構えると・・・。




高杉「違う。こうするんだ。」



そう言うと、私を後ろから抱きしめるような形で、銃の撃ち方を指南してくれた。





まずいよ!これ!高杉の事、意識し過ぎて、胸が張り裂けそう。




何発か撃つと、銃を手から、取り上げられて、後ろから抱きしめられた。




なつ「ダメだよ・・・。」



高杉「会いたかった・・・。」



なつ「っ・・・!」



私の胸は高鳴り、張り裂けそうなくらい苦しい。





高杉に触れたい。





その思いが心の中を埋め尽くす。






今日だけ・・・。





私は、誰かに言い訳するように、心の中で呟く。




私は、回された腕に手を添えた。




なつ「高杉・・・。お帰り・・・。私も、会いたかった・・・。」




そう言うと、高杉は、息を飲んだ。




そして、顎に手をかけられて上を向かされると、唇が重なった。




何度も啄まれる唇が甘く痺れる。




目から、熱い涙が零れる。






そうか・・・。私、こんなにも、高杉の事、好いてるんだ・・・。こんなにも、求めてる・・・。




罪悪感が押し寄せる中で、私は、高杉を受け入れた。




今日だけだから・・・。




自分に言い訳をしながら・・・。




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