君の隣




朝廷も攘夷の方針を打ち出した。



朝廷の勅使は幕府に条約破棄、攘夷実行を迫ろうとする。




それに対して、実現不可能な要求に幕府は困り果て、将軍の病気をはじめとする理由に勅使の登城を遅らせていた。





しかし、攘夷の風を世に立てた長州藩自体の評判はあまり良くない。



急激、且つ真反対の転換が軽薄と周りから言われていた。




しかも、8月21日。



薩摩藩が、神奈川生麦村で島津 久光様の行列を横切ったとして、英国人を斬るという事件を起こしていた。(いわゆる、生麦事件。)



尊攘派の喝采を浴びていた。








私は、高杉に呼び出される。



なつ「何?」



高杉「攘夷実行だ。暗殺するぞ。」



なつ「まぁ。確かに、必要かもね。」



高杉「だろ?では、行くぞ。」




私は、品川の妓桜相模屋、通称、土蔵相模に集まり密議を重ねた。





賛同したのは、久坂さん、志道さん(井上 馨)など、長州藩士ばかりだった。




高杉「なつ、あいつ等の動向、予定を調べてくれ。」




なつ「かしこまりました。」




・・・。




私は、情報を持って土蔵相模に行く。





なつ「お待たせしました。11月13日に横浜に“ぴくにっく”という散歩のようなものに行くみたいです。」




高杉「よし!では、その公使を白昼堂々と暗殺するぞ!」





前日にまでに、神奈川宿の下田屋に集まる。






私は、色々下調べをする。






萩に帰った時に、見慣れない顔がいた。




あれは、土佐藩士の使いの者。




私は、天井裏へ行く。




話し声を聞いていると・・・。






土佐藩主の山内 容堂様にバレてたの!?






土佐と長州の使者が止めに来る。





私は、下田屋に急ぐ。



しかも、幕府側にもバレていたようで、ここへ来るまでに、20~30人の兵を確認した。







なつ「はぁ・・・。はぁ・・・。」




高杉「おぉ!なつ!遅いぞ!お前が最後だ!」



なつ「中止して・・・。バレてる。」




久坂「え!?」



なつ「ここに来るまでに、幕府の兵が20~30人。土佐の殿様にもバレてたみたいで、私達の殿に使者を寄越してた。もうすぐ、土佐と、うちの藩の使いが来る。」





私達は蒲田梅屋敷まで呼び戻された。




梅屋敷とは娯楽施設だ。




ここで、若殿の説諭を受けた。





若殿「わしはの才は乏しいが、任は重い。お前たちの助けがあってこそだ。どうか、これからも支えて欲しいのだ。だから、こんな事はしないでくれ。」




「殿・・・っ。」



皆は、涙して感激した。・・・一人を除いて。



殿からこんな、ありがたいお言葉を頂けるなんて・・・。




私も胸が熱くなる。




しかし、だからこそ、わかってもらいたい。私達の気持ちを・・・。





すると、高杉は涙を流さず、今回の挙に及んだ経緯の詳細を昴然と話した。










その後、酒が振る舞われた。




私は、宴会を抜けて、離れの風呂に入っていた。




何だかモヤモヤする・・・。




そして、大変な騒動が、あったことを私は後で知らされる。




部屋に戻ると、高杉に呼ばれる。




高杉「なつ!どこ行ってた?」



なつ「お風呂だよ。1日走りっぱなしで気持ち悪くて。」




すると、高杉が、私を抱き寄せる。



なつ「ちょ・・ちょっと!」



高杉「いい匂いだな。」



鼻を首筋に這わせて匂っている。



そして、先ほど起こった事を聞いた。




志道「聞いてよ!周布さんがさぁ、酒に酔って馬に乗って現れて、容堂公を罵ったんだよ!土佐藩士が怒ってやり合いになるかと覚悟したら、高杉さんが、周布さんが乗ってた馬を斬ってその場から、離して、丸く収まったんだ!はははっ。」




私は青ざめた。一歩、違えば、斬り合いになってたよ。それ・・・。





なつ「高杉、すごい機転だね!」



高杉「当たり前だ!ふふん♪」



酔ってるね・・・うん。





しかし・・・。






事件を起こした全員が桜田の上屋敷の一室に押し込まれ謹慎を命じられた。





何故、私まで・・・?




しかも、男の部屋に一緒の部屋に突っ込まれてるってどうよ・・・。





私が膨れていると、高杉が隣に座る。




私の頬をツンツンと指で押しながら、




高杉「くくくっ。お前・・・。おなごとして見られて無いんだな。くくくっ。」



なつ「高杉が抗議しようしたら私の口を塞いだんでしょ!しかも、あの事件、私、関係無かったのに!」



高杉は、私で遊ぶ。




高杉「よし!皆!次だ!一部屋に集められたのは好都合。作戦を立てるぞ!」





私達は、血盟書を作った。



攘夷の初志貫徹を誓う。




筆頭は高杉。



私達は、順に血判していく。




久坂「この組の名前をさぁ、御楯組(みたてくみ)ってのはどう?」



志道「国の為に楯になる!ということか?良いな!」





そんなこんなで、毎日、議論に議論を重ねた。





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