君の隣
私の隊は、四番隊にしてもらった。
そして、他の密偵ならば、狙うであろう情報をこの四番隊に集中させた。
密偵を私がいち早く見つけるのだ。
そして、この隊の鍛錬は水責めから始まる。逆さに吊られて、水瓶に落とされる。
あらゆる拷問に耐える。
情報を言わない強い気持ちを作る。
そして、情報を取ってくる。
もちろん武芸も磨く。
最初、女の下なんてとバカにしていた奴らを一人一人叩きのめし、納得させた。
奇兵隊は、ほとんどが下級武士や農民などからなる。
しかも、次男、三男がほとんど。
皆は武士になるのを夢見ている。
しかし・・・。高杉は身分を変えてやろうとかそういう考えはない。
その時に、情報屋として、手に職があれば、生きていける。
まぁ、情報屋を職にするかは本人次第だが・・・。
銀次「隊長!」
この子は銀次という、農民上がりの次男坊だ。とにかく犬っころのようで可愛い。
なつ「どうしたの?」
銀次「見て下さい!情報取ってきました!」
なつ「じゃあ、その情報の意味は?」
銀次「うーん・・・。」
なつ「銀ちゃん。持ってきた!だけじゃだめ。意味もわからないと・・・。しかも、私も敵かもよ?見せてどうする!さて・・・。ここに、もう一つ、私の情報がある。奪ってみる?」
銀次「探す手間が省けますね?」
銀ちゃんがニヤリと笑って、木刀を構えた。
なつ「奪えたらの話ね?」
・・・。
銀次「参りました・・・。」
私は銀次から、情報を奪い取る。
なつ「なるほど、これね・・・。ありがとう。銀ちゃん。私、わかっちゃった♪」
そして、謎を解き、お宝の場所へ行く。
これを、隊の全員が隠す係りと、暴く係りに分かれる。情報を一人一つ持ち、奪い合う。
時には、他の隊に見つからずに、悪戯をする。
なつ「今日は、高杉総督に行こう!」
全員「無理無理無理無理!」
なつ「どうして?」
田沼「殺されます。」
田沼君は足軽の三男坊。
なつ「だからいいんじゃない!」
全員「・・・。」
なつ「私が仕掛けるから、奪ってね!奪った奴には・・・。亀屋の太夫を呼んで部屋代奢る!」
亀屋とは花街の店。
皆、貧乏だから、店自体行けない。
全員「本当ですか!?」
やる気の目。
なつ「本当は志が欲しいところだけどね・・・。」
そして、私は、高杉に近づき、抱きついた。
なつ「高杉っ!」
高杉「お前っ!随分、お気楽で、愉しそうだなぁ?」
なつ「楽しい!高杉、ありがとう。私にも、隊を持たせてくれて!」
私は、高杉に抱きつき、高杉の背中に、布を縫い止めた。
高杉「お前が素直だと気持ち悪い。」
なつ「そう?まぁ、いいや!気分良いし!じゃあ、隊に戻る。」
高杉「後で会議だ。」
なつ「わかった!じゃあ、また後で!」
私は、高杉に気付かれずに、布を付けた。試練達成だ。
なつ「さぁ!次は、みんなの番!頑張って!」
そして、皆は命がけで、高杉に張り付いた布を取りに行く。
高杉は、訳がわからず、四番隊に追っかけ回されていた。
そして、数刻後・・・。
なつ「全滅かぁ・・・。やっぱり、まだまだかぁ・・・。」
皆、やられてしまう。
「やっぱり、お前かっ!」
ヤバッ!
逃げようと思うと、高杉に捕まった。
高杉「最近、色んな所でふざけてるらしいと聞いていたが・・・。まさか、俺の所まで来るとはなぁ・・・。」
なつ「ほらっ!頭を取りに行くのは、良い考えでしょう?」
なつ(「今度は奇襲かけてやる!」)
バシッ。
なつ「痛っ!」
頭を叩かれた。
高杉「聞こえてるわっ!」
なつ「すみませーん。」
高杉「全く、悪いと思ってないな・・・。会議行くぞ!」
私は、引きずられて行く。
奇兵隊には、久坂さん、稔麿さん、他にも、沢山の松下村塾の面々が、隊長を務めている。
伊藤さん、井上さん達は、少し前にエゲレスに密航し勉強しにいったのだ。