君の隣
失落





文久3年8月。




とんでもない事が、発覚した。



私達長州藩が、攘夷を決行して、先頭をきっていた。





それを諸藩の大名や朝廷の中まで過激過ぎると反感を抱く者も出てきた。




しかも、帝(孝明天皇)が、公武合体派だと仰せられた。




「攘夷せよ」と、言っていたのは、別の人物が言っていた。と、偽勅だと認めた。





それに、素早く乗っかったのは、長州藩に対抗意識を燃やす薩摩藩だった。




薩摩藩は、会津藩と協力し合って、8月18日、深夜。



参内して、帝を手中にして、長州藩は、御所の堺町門護役を解かれ、出入り禁止となった。






さらに、三条実美様をはじめ尊攘派の七卿と6名の尊攘派七卿も長州藩に亡命した。





【八十八の変政】








私はこの時、行けなかったのだ。長州藩で、奇兵隊と先鋒隊でちょうど揉めていたからだ。





攘夷派は、京から撤退を余儀なくされた。









そして・・・。この事が、長州を二分する戦いが勃発するのだった。





8月29日。




公武合体派の「俗論派(党)」・・・中川 宇右衛門様、椋梨 藤太様、三宅 忠蔵様が中心。




尊皇攘夷派「正義派(党)」・・・周布 政之助様、前田 孫右衛門様、毛利 登人様。(松下村塾の面々。)



俗論派の幹部の方々が、山口に押しかけて、政変の任を問い正義派の幹部3人を免職するよう求めた。





そして・・・。藩主様が、俗論派の要求を承諾してしまった。




これは、また、藩の意見を変えてしまうということになる。















高杉「京へ上る!なつ!お前も来いっ!」




なつ「待って!今は、動いちゃだめ!京の天誅組が後ろ盾を無くしてる状態なの!そんな所に、高杉が行ったら巻き込まれる!これは、ちゃんと考えて作戦がいる事だよ!」



すると、世子様から、書状が届く。




私達は、藩主世父、世子様を説得しに行った。





高杉「殿!今、俗論派に藩政を任せると藩は、他の藩の信用も無くなります!」




なつ「確かに、今は、情勢が公武合体になっていますが、幕府が、これを乗り切れるとは思えません!」




私達は、説得に説得を重ねた。





そして・・・。藩主様にわかってもらえた。





私達は城を出た。





なつ「良かったね!わかってもらえて!」




高杉「あぁ。一安心だな。」



また、藩政は、正義党で固められた。





高杉は、政務座役に再任された。





奇兵隊総督は辞任ということになった。






周布様も大坂へ脱藩していたが、罪を不問にしてもらい、10月5日、表番頭格を命じられ、政治堂御内用となり、さらに、蔵元役御政務座を兼ねることになられた。





渡辺 内蔵太(くらた)様、樽崎 弥八郎様、久坂義助(よしすけ)さんといった面々も藩政の政務座に任ぜられた。





なつ「久坂さんっ!おめでとうございます!」



久坂「ありがとう!おなつちゃん!おなつちゃんも命じられたんだよね?」



なつ「はい!隠密隊隊長です!高杉の・・・。高杉さ・ま・の計らいで!」



久坂「はははっ。そうか。」



「また、男に色目か・・・。さすが尻軽。」



私は、振り向いて睨む。



なつ「ねぇ、高杉・・・。」




睨まれる。



くそぅ。




なつ「コホン。高杉殿!」



高杉「“様”だろ?おなごのくせに!」



なつ「高杉!」



高杉「お前っ!無礼な!斬るぞ!」




なつ「隠密隊隊長に適うとでも?試合じゃないんなら私は負けないから!」




高杉「っ・・・。可愛げのない女。」




なつ「器のちっさい男!呼び方くらいで!ねぇ、久坂さん?ところで、大和さんも直目付になったって聞いたんですけど♪」




久坂「あぁ!そうだよ!」




なつ「楽しみ♪」




高杉「お前、また、色目か!?」




なつ「うるさい!」




久坂「はははっ!全然、変わってないね!」



そして、ここに、超過激な人達が揃う攘夷派の政権が始まった。





9月15日。


高杉は、奇兵隊総督を免じられた。




二代目は、滝 弥太郎さんと河上 弥一さん。





私は、奇兵隊隠密隊と藩の隠密隊隊長の兼任だ。





なつ「皆、奇兵隊の方は宜しくね!任せられる人材ばかりだから、免じてもらっても良かったんだけど・・・。」



銀次「ダメです!」




なつ「じゃあ、連絡は密に取り合いましょう!」



全員「おぉ!」





そうして私は、隠密隊の立て直しを始めた。


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