君の隣
高杉は、綺麗に身支度し、外に出てきた。
馬は一頭。
まだ、罪人だから、高杉は歩きだ。
なつ「乗って。」
高杉「いいえ。」
なつ「じゃあ、命令!乗りなさい!」
高杉「ふっ・・。」
高杉は、馬に跨がり、私を前に乗せた。
なつ「後ろでも良かったのに。」
高杉「こうしたかった・・・。」
高杉は、手綱を持ちながら、私を後ろから抱きしめる。
なつ「お兄ぃに、依頼したでしょう?もう。お兄ぃはしつこいんだから、全然、目的を果たせなかったんだからね!」
高杉「だからだ。無事で良かった・・・。」
なつ「でもね・・・。久坂さんも、九一さんも、熊さんも、討ち死に・・・っ。」
高杉は、後ろからギュッと抱きしめる力を強めた。
そして、山口政事堂に着いた。
私達は、中に入り、
なつ「殿。お連れしました。」
私は、部屋を出た。
しばらくして、部屋を出てきた高杉は、無言で私の前まで来て、抱きついた。
なつ「ど・・・っ。どうしたの!?」
高杉「殿から、聞いた・・・。お前が、言ってくれたと・・・。礼を言う・・・っ!」
なつ「泣いてる場合じゃない。状況を説明する。」
高杉は、私の話を聞いて、少し考える。
なつ「ねぇ。」
高杉「取られたら、終わりだな。上海のようになる。」
そして、止戦講和のため、高杉が、動いた。
8月8日。
止戦講和の談判に長州藩代理として、高杉が出席した。
殿から拝領の五三の桐紋入り、萌黄色の直垂(ひたたれ)を着て、黒の烏帽子(えぼし)を被った。
なつ「正装だね!」
高杉「あぁ。当然だ。」
なつ「頑張って。」
高杉「あぁ。」
そして、宍戸 刑馬(ししど ぎょうま)と名を変えて、連合艦隊に乗り込んでいった。
どうか、上手くいきますように。
そして、出てきた。
高杉は、殿に報告後、私を訪ねて来た。
なつ「どうだった?」
すると、一緒にいた、伊藤さんが興奮して話し出す。
伊藤「聞いてよ!高杉さんったら、いきなり古事記を話し出すんだよ!そんなの訳せないよ!」
なつ「ぷぷっ。それで上手くいったんだ。」
高杉「あぁ。」
しかし、2回目の談判の時・・・。
高杉は、講和に反対する攘夷派に命を狙われた。
よって、病欠として、欠席した。
そして、高杉と、伊藤さんは、世子様のいる、船木に赴き、有帆の大休に潜伏した。
その護衛に私が抜擢された。