君の隣
反撃
10日ばかり経った頃、正義派の三家老の福原 越後様、益田 右衛門介様、国司 信濃様が切腹された。
なつ「高杉っ!」
高杉「どうした?」
高杉は、野村様と詩を詠んでいた。
なつ「大変っ!三家老様が切腹された!」
高杉「何だとっ!?」
なつ「それだけじゃないの!!竹内様、中村様、佐久間様、宍戸様の四参謀達も野山獄で・・・斬られたっ。」
高杉「何と・・・っ。」
私達は急いで、萩に戻る。
すると、赤祢さんは、俗論派に今は、内戦をしている場合ではないと、妥協点を探していた。
しかし、奇兵隊の中堅部の人達は、それが、面白くない。
中堅部の一人冷泉さんが、高杉に、自分達と立ち上がって欲しいと、駆け寄ってきた。
その時は、止めておけと言っていた、高杉も、下関に行くと、考えが変わった。
そして、会所を襲撃すると言う。
なつ「本気?」
高杉「あぁ。議論では、もう無理なんだ!」
そして、元々、俗論派に恨みがあった、御楯隊や遊撃隊に持ちかけた。
高杉「なつ。お前の四番隊も出せよ。」
なつ「・・・わかった。」
下関新地は急いで萩の本藩の統治下・・・。
占拠して足場を固めるのね。
しかし、赤祢さんは、大反対した。
せっかく、俗論派と話がまとまってきたのに、高杉に勝手な事をされたら、今までの事が全て、意味がなくなる。
赤祢さんは、御楯隊や遊撃隊を回って、計画を中止を求めた。
なつ「高杉、赤祢さん、御楯隊や遊撃隊を回って、中止を求めてる。んで、離脱するみたい。」
高杉「何だとっ!?」
高杉は、御楯隊の陣営を訪ねる。
そこに、赤祢さんや、他の人達も勢揃いしていて、高杉を説得する。
しかし、高杉は、酔っ払って、とんでもないことを言った。
高杉「おい!太田君!君は、赤祢ごときの言うことを聞くのか?元々、赤祢は一庶民じゃないか。そんな奴が、藩の大事な時に、深く考えられる者ではない!君らは、俺を誰だと思っている!?俺の家は、毛利家三百年来の家臣の武士だぞ。何で、その俺が、赤祢ごとき一庶民と比べられなくてはならない?俺は、この挙兵を止めないっ!」
皆、固まっている。
奇兵隊は、身分の低い者がほとんど。
そんな、人達の事を考えているのかいないのか、高杉はまだ、続けた。
高杉「それに、赤祢のやってることは、その場を生き延びる為だけの策ではないか!ふんっ!」
なつ「ちょっと!高杉!酔いすぎ!」
高杉「おぉ!なつ!お前もそう思うだろ?・・・。そうだ!一頭の馬を貸してくれ!俺は、殿の急に赴く!一里行って死んでも、藩に殉死したことになる!十里行って死んでも、殿に尽くした事になるのだ!お前達に、こんな事は出来まい!さぁ!馬を貸してくれ!」
なつ「ちょっと!高杉っ!あんたは、また、お坊ちゃんになって!」
高杉「当たり前だろ?俺は大組の家だ。」
私は、高杉をひっぱたいた。
高杉「何をするっ!バカ女!」
なつ「バカはどっちよっ!」
高杉「うるさいっ!下級者!」
なつ「なっ!」
高杉「皆、腰抜けめ・・・。こんな奴らダメだ・・・。なつ、行くぞ。」
バンッと席を蹴り、部屋を出て行った。
なつ「皆さん、気分を害して、すみません。」
赤祢「最低だっ!」
山県「馬鹿にしているっ!」
皆の怒りが、フツフツと湧く。
赤祢「君の隊は高杉に付くんだろ?」
なつ「はい。」
赤祢「あんな事を言ってたって知ったら、誰もついて行かない。」
なつ「確かに、高杉は、口も悪いし、身分重視だけど、彼の意見には賛成です。俗論派と仲良くしたって、その場限りですよ。赤祢さん。それは、高杉の方が、正しいと私は思います。すみません。失礼します!」
私は、高杉の後を追った。
高杉は、フラフラしながら、歩いていたので、すぐに追いついた。
なつ「高杉!」
高杉は、振り返ると私を抱きしめてきた。
なつ「ちょっと!」
高杉「お前は、俺のことをよくわかってる!お前が、男なら、もっと、もっと、色んな事が出来たのにな。」
なつ「高杉は、私が、男の方が良かったの?」
高杉「はははっ!お前が、男なら、こんなに愛おしくない!この気持ちも知らなかったから、お前は、おなごで良い!」
え?
なつ「それって、どういう・・・。」
意味?と聞きたかったのに、口付けをされた。
そして、抱き合い、幾度も口付けを交わす。
なつ「止めてよ・・・。」
高杉「止めない。」
唇を重ねていて思う。
私は、この人に求められたら、拒めない・・・。