君の隣
私達は、下関まで走り、新地会所を襲撃した。
会所から、役人を追い払う。
私達の四番隊を含んだ、隊を作り、三田の海軍を襲撃。
なつ「皆!行くよっ!」
隊士「はいっ!」
パン、パン、パン。
軍艦の癸亥丸(きがいまる)を奪い取る。
それから、しばらくして、藩から、私達の鎮静令が出された。
それに、対し、高杉と伊藤さんが、抗議した。
高杉「私達は、藩主様に逆らうつもりは毛頭ございませぬ!ただ、幕府に媚びて、正義派の者を幽閉し殺害する俗論派を討つ事であります!」
藩主様に自分達の主張をしたことで、わかってもらえた。
追討令だったものが、鎮撫令に藩主様が変更された。
高杉「よし!次は新地の会所を占領する!」
慶応元年(1865年)、1月2日。
再び、新地会所を襲撃した。
高杉「どうだ?」
なつ「報告します!もうすぐ、敵は落ちます!」
高杉「よし!乗り込むぞ!」
なつ「はいっ!」
その奇襲をかけた私達の隊の中に奇兵隊がいた。
なつ「山県さん?・・・赤祢さんは?」
高杉「勝算があると踏んだんだろう。赤祢の留守に山県が動いた。」
私達は、ついに会所を奪った。
そして・・・。
大田・絵堂の戦いが始まった。
高杉「行くぞっ!」
全員「おー!」
私達が勝った。
高杉「赤祢は斬首とする。」
なつ「どうして!?彼は、戦を止めさせようとしただけだよ!」
高杉「裏切り行為は、見逃せない。」
なつ「そんな・・・・。」
私は、赤祢さんに会うことを禁じられた。
そして、慶応2年1月25日、赤祢さんは、斬首されることとなった。
私がそれを知るのは少し後のことだった。
藩政府は私達、諸隊に対して、人馬の調達、食料の受け渡し、米銀貸与を禁じた。
1月7日より、小郡の勘場を襲撃して、お金を借りた。
次々と、襲撃し、行政を掌握していった。
15日。ついに・・・。
高杉「なつ!行くぞ!おまえの隊は、ついて来い。」
なつ「はい!」
俗論派の連中を、萩に追い散らした。
俗論派の連中がいる萩に諸隊を進めて、包囲した。
そして、ついに、俗論派を追い出した。
正義派が、藩政府を勤めることになった。
皆は高杉の計算の高さを誉めちぎった。
そりゃそうだ。
私達の隊は、80人ほど。対して、藩の動かせる隊は2000人だ。
なつ「ねぇ・・・。勝算なんてなかったでしょ?この戦いで、死ぬ覚悟だったんでしょ?」
高杉は、私を見て、フッと笑う。
高杉「あぁ。勝算なんて、あるわけない。今回は、上手くいった。くくくっ。」
なつ「やっぱり・・・。」
高杉「俺には、勝利を掴む女が側にいる。」
そう言って、私を抱き寄せ、口付けをした。
なつ「私は、そんな、良いものじゃない。」
高杉「俺にとっては、この上ない・・・。なぁ、なつ・・・。俺の側にいろ。やはり、お前は、家に入るようなおなごではない。お前がいれば、先生の志を遂げれる気がする。いや、遂げれる。もし、俺らが、いなくなったとしても、志は受け継がれる。俺の考えに、賛同してくれるお前が側にいれば、出来る。これからも・・・側にいてくれるか?」
それは、おなごとしてではなく、同志ということ・・・。
嬉しいが、悲しい。
わかってる。
高杉の女になれない事くらい・・・。
だって、高杉は、綺麗で、若い芸妓のような色気のあるおなごが好きだから・・・。
それに比べ、私は、今も、岡っ引きの格好に羽織だ。
こんなおなごに、惚れる男はいない・・・。
私は、苦い気落ちを堪えて、笑った。
なつ「うん!私は、高杉と共に、先生の志を遂げる!そして私の志も!」
高杉「あぁ!」
私達は、約束の杯を交わした。